主な主契約 - 生命保険商品の全体像を理解する -
- 9 時間前
- 読了時間: 7分

1. 主契約は保険の土台
前回は、生命保険が「主契約」と「特約」で構成されていることを解説しました。主契約は保険契約の土台となる部分であり、特約はその保障内容を補強するためのオプションです。では、主契約には具体的にどのような種類があるのでしょうか。生命保険会社が取り扱う商品は数多くありますが、多くは次の4つに整理できます。
死亡保険
生存保険
生死混合保険
第三分野保険
保険募集の現場にいた頃は、この4分類を頭に入れておくと「このお客様のニーズにはこの商品が合う」という判断がスムーズになると言われていました。商品名だけを覚えようとすると数が多くて混乱しがちですが、分類で整理すると一気に見通しが良くなります。
今回はそれぞれの主契約の役割と特徴を見ながら、生命保険商品の全体像を整理していきます。
2. 死亡保険の主契約
死亡保険は、被保険者が死亡した場合に保険金が支払われる商品です。家族の生活費・教育費・住宅ローンなど「万一の際に残された家族が困らないようにすること」が主な目的です。
商品名 | 主な目的 | 主な特徴 |
定期保険 | 一定期間の死亡保障 | 掛け捨て型で保険料が比較的安い |
終身保険 | 一生涯の死亡保障 | 解約返戻金があり貯蓄性も持つ |
収入保障保険 | 遺族の生活費確保 | 年金形式で毎月受け取る |
定期保険
一定期間だけ死亡保障を確保する保険です。保障額に対して保険料が安く、子育て期間中など「今は大きな保障が必要」という世帯によく利用されます。
終身保険
保障が一生涯続く保険です。死亡保障に加えて解約返戻金もあるため、葬儀費用の準備や相続対策として活用されることがあります。
収入保障保険
死亡時に保険金を一括ではなく毎月受け取る仕組みです。遺族の生活費を給与の代わりとして補うイメージで、子育て世代を中心に選ばれています。
【保険募集の現場から】「子育て世代に最も多かった相談」
代理店の担当者によると、死亡保険の相談で一番多いのは小さな子どもを持つ30〜40代の親御さんだそうです。「万一のとき、教育費や生活費をどうしたらいいか」という不安を抱えて来られる方がほとんどで、話を聞いていると胸が痛くなることもあると話していました。
そういうお客様には「何千万円の保険金が出ます」という説明より、「毎月の生活費がいくら必要か」を一緒に書き出すところから始めるようにしているそうです。家賃・食費・教育費・ローン返済と並べていくうちに、「あ、こんなにかかっているんですね」と気づかれる方が多く、そこで初めて必要な保障の大きさがリアルに伝わるとのこと。「3,000万円」という数字より「毎月15万円、子どもが独立するまでの20年間」という形の方が、ずっと自分ごととして受け取ってもらえると話していました。
3. 生存保険の主契約
生存保険は、一定期間生存していた場合に給付金や保険金を受け取る商品です。将来の資金準備を目的として利用されます。
商品名 | 主な目的 | 主な特徴 |
個人年金保険 | 老後資金準備 | 積立後に年金形式で受け取る |
学資保険 | 教育資金準備 | 満期時にまとまった資金を受け取る |
個人年金保険
現役時代に保険料を積み立て、老後に年金として受け取る商品です。第2シリーズ第4回で解説した責任準備金の仕組みが、この積立フェーズと取崩しフェーズを支えています。
学資保険
子どもの教育資金を計画的に準備するための保険です。契約者である親が死亡した場合でも、その後の保険料払込が免除される商品が多く、保障機能も兼ね備えています。
【保険募集の現場から】「学資保険は「貯蓄」だけではない」
学資保険の説明をしていると「銀行に貯金するのと何が違うんですか?」と必ず聞かれると、代理店の担当者は苦笑いしながら話してくれました。
返戻率の説明よりも「親御さんに万一のことがあっても、お子さんの教育資金はそのまま確保できます」の一言が一番響くそうです。ある30代のお母さんはその説明を聞いてしばらく黙り、「それは貯金とは全然違いますね」とおっしゃっていたとのこと。学資保険は「積立」より「万一への備え」として刺さることが多い商品だと話していました。
4. 生死混合保険の主契約
生死混合保険は、死亡保障と生存保障の両方を兼ね備えた商品です。
商品名 | 主な目的 | 主な特徴 |
養老保険 | 保障と貯蓄の両立 | 死亡時も満期時も保険金が受け取れる |
変額保険 | 保障と資産形成の両立 | 運用成果によって保険金・解約返戻金が変動する |
養老保険
契約期間中に死亡した場合は死亡保険金、満期まで生存した場合は満期保険金が支払われます。「保障も欲しいし、貯蓄もしたい」というニーズに対応した商品ですが、その分保険料は比較的高めです。
変額保険(変額養老保険)
養老保険と同様に死亡・満期の両方に備えながら、保険料の運用を株式・債券などで行う商品です。運用成果によって受け取れる保険金や解約返戻金が変動するため、高い運用成果が期待できる一方でリスクも伴います。なお、変額保険には死亡保障に特化した変額終身保険や、老後の年金受取を目的とした変額年金保険もあり、商品の設計によって分類が異なります。
5. 第三分野の主契約
第三分野とは、病気・ケガ・介護などに備える商品群で、近年は生命保険市場の中心的な分野となっています。
商品名 | 主な目的 | 主な特徴 |
医療保険 | 入院・手術への備え | 公的保険でカバーしきれない費用を補完 |
がん保険 | がんへの備え | がんに特化した手厚い保障 |
就業不能保険 | 働けなくなるリスクへの備え | 毎月給付金を受け取る |
介護保険(民間) | 介護費用への備え | 要介護状態に備える |
医療保険
入院・手術などの医療費負担に備える保険です。公的医療保険ではカバーしきれない差額ベッド代・先進医療費・収入減少などを補完します。
がん保険
がんに特化した保障で、診断一時金が特徴です。医療保険との大きな違いは、がんの治療に特化して手厚く備えられる点です。
就業不能保険
病気・ケガで働けなくなった際の収入減少に備える保険です。毎月給付金を受け取る形式が多く、特に自営業者・フリーランスにとって重要な備えです。
介護保険(民間)
要介護状態になった際の費用を補う保険です。公的介護保険の自己負担を補完する役割を持ち、近年は認知症に特化した商品も増えています。
【保険募集の現場から】第三分野が主役になった時代
かつては死亡保障の相談が中心だったのに、最近は最初から「医療保険を見直したい」「がんが心配で」という入口が増えたと、代理店の担当者は話していました。「時代が変わったなと感じます」とのこと。
背景には長寿化や医療技術の進歩があり、「亡くなるリスク」より「長く生きるリスク」を身近に感じるお客様が増えているようです。「友人ががんになって、自分も他人事じゃないと思って」という言葉をよく聞くようになったと話していました。
6. 主契約の選び方
主契約を選ぶ際は「どの商品が人気か」ではなく「何に備えたいか」から考えることが大切です。
こんな不安がある | 主な選択肢 |
家族の生活費が心配 | 定期保険・収入保障保険 |
葬儀費用や相続対策をしたい | 終身保険 |
老後資金を準備したい | 個人年金保険 |
子どもの教育費を準備したい | 学資保険 |
病気やケガに備えたい | 医療保険 |
がんに備えたい | がん保険 |
働けなくなるリスクが心配 | 就業不能保険 |
介護費用が心配 | 介護保険(民間) |
保険募集でよく使われるのは、心配なことの顕在化です。商品の説明から始めると選ぶのが難しくなりますが、不安から入ると自然と必要な商品が見えてきます。保険選びは商品から選ぶのではなく、目的から逆引きするのがよいとされています。自分や家族がどのような不安を抱えているのかを整理することで、必要な主契約が見えてきます。
7. まとめ
主契約は生命保険契約の土台です。死亡保険・生存保険・生死混合保険・第三分野という4分類を頭に入れておくと、商品の全体像がすっきり整理できます。
次回は、主契約を補完する「主な特約」を解説します。主契約だけでは不足する保障を、どのような特約で補えるのか——種類と役割を一緒に整理していきましょう。



コメント