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【保険代理店業務_D】契約保全(Policy Maintenance)

  • 1 日前
  • 読了時間: 20分

保険代理店の「契約保全」は、保険契約が成立した後、契約内容を正確に管理し、住所・名義・保障内容等の変更、満期・更改、保険料収納のフォロー、解約・失効、定期的なアフターフォローなどに対応する業務です。 前フェーズのC「計上(新契約)」で成立した契約は、その後、数年から数十年にわたって継続します。その間に、引っ越し、結婚・離婚、出産、転職、車の買い替え、建物の増改築、事業内容の変更など、顧客を取り巻く状況は変化します。代理店は、こうした変化を把握し、必要な契約変更を保険会社へ取り次ぎながら、契約を適切な状態に維持していきます。


生命保険と損害保険では、契約保全の性格が大きく異なります。生命保険では、数十年にわたる長期契約の中で名義変更、受取人変更、減額、特約変更、払済保険・延長保険への変更など、多様な保全手続きが発生します。一方、損害保険では、車両・建物等の保険対象の変更に加え、1年契約を中心に毎年大量の満期・更改対応が発生する点が特徴です。 保険会社が契約情報の正式な管理や変更処理を行うのに対し、代理店は顧客から変更や相談を受け付け、必要事項を確認し、保険会社へ取り次ぎ、手続きが完了したことを確認する役割を担います。


また、複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店では、保険会社ごとに分かれた契約情報を顧客・世帯・法人単位で把握し、継続的な顧客対応につなげることも重要です。 ここでは、契約保全を「契約情報管理」「契約保全(変更手続き)」「満期・更改管理」「保険料収納管理」「解約・失効管理」「アフターフォロー」の6つに分けて整理します。




D-1. 契約情報管理(Policy Information Management)

成立した保険契約について、代理店が継続的な顧客対応を行えるよう、顧客情報と契約情報を正確に管理する業務です。 契約者・被保険者・受取人、保障・補償内容、保険期間、保険料、保険対象などを把握し、顧客からの照会、変更、満期・更改、保険金・給付金請求等に対応できる状態にします。 特に乗合代理店では、同じ顧客が複数の保険会社の商品に加入していることがあるため、「保険会社ごとの契約」だけでなく、「一人の顧客がどのような契約を保有しているか」という視点で管理することが重要です。


D-1-1. 顧客・契約情報の登録

新たに成立した契約について、契約者、被保険者、商品、保障・補償内容、保険期間、保険料等を代理店が管理する顧客・契約情報として登録します。C「計上(新契約)」で登録した情報を、契約成立後の継続管理へ引き継ぎます。


D-1-2. 保険会社からの契約データ取得

保険会社から提供される成立契約、変更、収納、満期等の契約情報を取得します。乗合代理店では複数の保険会社から情報を受け取るため、保険会社ごとの情報を継続的な顧客対応に利用できる状態にします。


D-1-3. 契約データの更新

保全手続き、満期・更改、解約等によって契約内容が変わった場合、代理店側で管理している契約情報も更新します。古い契約内容のまま顧客へ案内することがないよう、最新情報を維持します。


D-1-4. 顧客と契約の紐付け

一人の顧客が保有する複数契約を同じ顧客に紐付けて管理します。生命保険・損害保険、複数の保険会社をまたぐ場合でも、顧客単位で保有契約を把握できるようにします。


D-1-5. 契約者・被保険者・受取人の管理

契約者、被保険者、保険金・給付金受取人等、契約に関係する当事者を管理します。生命保険では契約者と被保険者、受取人が異なることも多いため、それぞれの関係を正確に把握することが重要です。


D-1-6. 車両・建物・動産などの保険対象管理

損害保険について、自動車、建物、家財、設備、動産等の保険対象を契約と紐付けて管理します。車両入替、建物の増改築、設備追加等が発生した際の変更手続きにつなげます。


D-1-7. 世帯・家族・法人単位の名寄せ

同じ世帯の家族や同一法人が保有する複数契約をまとめて把握します。契約単位だけでは見えにくい保障・補償の不足や重複、満期時期等を確認する際の基礎情報になります。


D-1-8. 契約内容の照会

顧客から契約内容について問い合わせがあった場合、現在の保障・補償内容、保険期間、保険料、特約等を確認し、所定の範囲で案内します。必要に応じて保険会社へ照会します。


D-1-9. 契約書類・証跡の保管

契約に関する書類や保全手続きの記録、顧客との対応履歴等を所定の方法で保管します。顧客照会、苦情対応、点検・監査等の際に、契約の経緯を確認できる状態にします。


D-1-10. データの不備・重複確認

同一顧客の二重登録、契約情報の欠落、保険会社側の情報との不一致等がないかを確認し、必要に応じて訂正します。氏名・住所の表記揺れなどにより同一顧客が別人として管理されるケースにも注意します。


業務の特徴と難しさ

乗合代理店では保険会社をまたいだ管理が必要

各保険会社は自社契約を管理していますが、乗合代理店では一人の顧客が複数社の商品に加入していることがあります。代理店側で顧客単位に契約を把握できることが、継続的な相談対応や保障・補償の全体確認につながります。


契約期間が長いほど情報は変化する

顧客の住所、家族構成、連絡先、保険対象等は時間とともに変化します。契約成立時の情報を保存するだけでなく、変更を把握して最新の状態に保つことが重要です。




D-2. 契約保全(変更手続き)(Policy Changes)

契約成立後に顧客の状況や希望が変わった場合に、契約内容を変更するための手続きを案内・支援する業務です。 生命保険では住所・名義・受取人の変更、保障額の増減、特約の付加・解約、払済保険・延長保険への変更、契約者貸付などがあります。損害保険では、これらに加えて車両入替、所在地・建物等の保険対象の変更が重要になります。 変更処理そのものは保険会社が行いますが、代理店は顧客から申出を受け、必要事項・書類を確認し、変更内容や注意事項を説明したうえで保険会社へ取り次ぎ、手続き完了までフォローします。


D-2-1. 住所・連絡先変更

引っ越しや電話番号・メールアドレスの変更等を受け付け、必要な手続きを案内します。損害保険では所在地の変更によってリスクや保険料が変わる場合があるため、単なる連絡先変更か保険対象の変更を伴うかも確認します。


D-2-2. 契約者・名義変更

改姓や契約者変更等の申出を受け付け、変更理由に応じて本人確認や必要書類を案内し、保険会社へ手続きを取り次ぎます。契約者変更は契約上の権利義務の主体が変わる重要な手続きであり、保険会社の承諾(同意)を要する場合があるため、単なる届出だけで効力が生じるとは限らない点にも注意が必要です。


D-2-3. 受取人変更

生命保険等で死亡保険金・給付金等の受取人を変更する申出について、必要な手続きを案内・取次ぎします。家族構成の変化等を背景に発生することが多く、本人確認や契約関係者の確認が重要になります。


D-2-4. 車両・所在地・対象物件変更

自動車の買い替え、建物の移転・増改築、設備や動産の追加等、損害保険の対象となる物件に変更があった場合、変更後の情報を確認して保険会社へ連携します。変更によって補償条件や保険料が変わる場合には、その内容を顧客へ案内します。


D-2-5. 保障・補償内容変更

顧客の希望や状況変化に応じて、保障・補償の範囲を変更する手続きを支援します。保障・補償を追加する場合には、保険会社による新たな引受確認が必要になることもあります。


D-2-6. 保険金額の増額・減額

保険金額を増額・減額する申出を受け付け、変更後の保障・補償内容や保険料等を案内します。増額部分について告知や引受査定等が必要となる場合は、C「計上(新契約)」に近い手続きが発生します。


D-2-7. 特約の付加・解約

契約途中で付加できる特約の追加や、既存特約の解約手続きを支援します。特約を追加する際には加入条件や告知等が必要となる場合があり、解約する場合には失われる保障・補償について確認します。


D-2-8. 保険料払込方法変更

口座振替、クレジットカード等の払込方法や、利用可能な場合には払込回数等の変更を案内・支援します。変更が次回請求に反映される時期も確認します。


D-2-9. 払済保険・延長保険への変更

対象となる生命保険契約で、今後の保険料払込みを停止しつつ保障を継続する方法として、払済保険・延長保険への変更を案内します。変更後は保障額や保障期間、特約等が変わるため、顧客が影響を理解したうえで判断できるようにします。


D-2-10. 契約者貸付

解約返戻金等を基礎として契約者貸付を利用できる生命保険契約について、利用可能額、利率、返済方法等を確認し、手続きを案内・取次ぎします。貸付金や利息が将来の受取額等に影響する可能性についても、保険会社の案内に沿って説明します。


D-2-11. 保険会社への手続き取次ぎ

顧客から受け付けた変更内容や必要書類を保険会社へ提出・連携します。代理店で変更を受け付けただけで手続きが完了したと誤認しないよう、保険会社側の処理状況まで管理します。


D-2-12. 手続き完了確認

保険会社で変更処理が完了したことを確認し、変更後の契約内容・適用日等を確認します。必要に応じて顧客へ完了連絡を行い、代理店側の契約情報も更新します。


業務の特徴と難しさ

変更手続きの種類が非常に多い

生保では名義・受取人・保障額・特約・払済・延長・契約者貸付など、損保では車両・建物・所在地・補償内容など、保全手続きが多岐にわたります。手続きごとに必要書類や確認事項が異なるため、正確な事務処理が必要です。


変更によって新たな引受確認が発生することがある

保障・補償の増額や特約追加、保険対象の変更等では、単純なデータ変更ではなく、保険会社による引受判断や保険料の再計算が必要になる場合があります。変更内容によって手続きの重さが大きく異なります。


不利益を伴う変更は説明が重要

減額、特約解約、払済・延長保険への変更等は、保険料負担を下げられる一方で保障内容が縮小することがあります。手続きを進めるだけでなく、変更後に何が変わるのかを顧客が理解できるようにすることが重要です。




D-3. 満期・更改管理(Renewal Management)

保険期間の満了が近づいた契約を把握し、顧客へ案内して、契約を継続・更新するかを確認する業務です。 特に損害保険では1年契約が多く、自動車保険等を中心に大量の満期契約が毎年発生します。満期・更改は単に前年と同じ契約を更新するだけではなく、顧客の生活・事業環境、保険対象、事故状況等の変化を確認し、必要に応じて補償内容を見直す重要な顧客接点でもあります。 生命保険でも更新型の定期保険・特約等では更新対応が発生しますが、契約期間の長さや更新の仕組みは損害保険とは異なります。


D-3-1. 満期契約の抽出

一定期間内に満期・更新を迎える契約を把握し、顧客への案内や更改手続きを行う対象として管理します。担当者、保険会社、保険種目、満期日等を確認し、対応漏れを防ぎます。


D-3-2. 満期案内・更改案内

満期が近づいた顧客へ、現在の契約の満期日や更新手続きについて案内します。契約によっては保険会社から案内が送付される場合もありますが、代理店からも必要に応じて連絡します。自動車保険等では、満期までに解約や条件変更の申出がない限り同一条件で自動的に更新される「自動継続特約」が付いている契約も多く、この場合は「案内すれば足りる契約」なのか「別途手続きが必要な契約」なのかを区別して管理します。


D-3-3. 契約内容・リスク状況の再確認

現在の保障・補償内容に加え、車両、建物、家族構成、事業内容、事故状況等に変化がないかを確認します。前回契約時から変化したリスクを更改内容へ反映するための重要な確認です。


D-3-4. 更改申込書の作成 更新後の補償内容・保険料等を確認し、更改時の申込書を作成します。複数の補償案を作成し、顧客が比較できるようにする場合もあります。

D-3-5. 保障・補償内容の見直し

顧客の現在の状況と契約内容を照らし合わせ、保障・補償の不足、重複、保険金額、特約等を見直します。見直しによって新たな商品提案が必要となる場合は、B「募集(相談・提案)」のプロセスにつなげます。


D-3-6. 更改意思の確認

顧客に更新後の契約内容・保険料等を説明し、更改するか、内容を変更するか、継続しないかの意思を確認します。顧客の意思を曖昧なまま処理しないことが重要です。


D-3-7. 更新・継続手続き

顧客の意思に基づき、更改・更新に必要な申込・確認手続きを行い、保険会社へ連携します。更新後の契約内容や保険期間、保険料等が正しく反映されたことを確認します。


D-3-8. 未更改契約のフォロー

満期が近づいているにもかかわらず更改意思が確認できていない契約や、手続きが完了していない契約を抽出し、顧客へ連絡します。意図しない無保険期間が発生しないよう、満期日までの進捗管理が重要です。


D-3-9. 更改結果・継続率の管理

更改、他社切替、満期終了等の結果を記録し、継続率を管理します。継続率の低下や失注理由を分析し、顧客対応や更改プロセスの改善につなげます。


業務の特徴と難しさ

損保では最大級の定常業務になる

1年契約が多い損害保険では、毎年大量の更改対応が発生します。満期日という期限があるため、件数が多くても漏れなく顧客へ案内し、手続きを完了させる進捗管理が必要です。


更改は顧客との関係を維持する重要な接点

更改時は、契約内容を改めて確認するだけでなく、顧客の生活・事業環境の変化を把握する機会でもあります。単純な更新事務ではなく、継続的な顧客関係を維持する営業上の重要な接点です。


「前年同条件」で更新できないケースも多い

商品改定、保険料率の変更、事故歴、保険対象や顧客状況の変化等により、前年と同じ条件で更新できない場合があります。変更内容を分かりやすく説明し、顧客の意向を改めて確認する必要があります。



D-4. 保険料収納管理(Premium Collection Management)

契約成立後、顧客ごとの保険料の入金状況を確認し、未収や口座振替不能等が発生した場合に顧客へ案内・フォローする業務です。 ここで扱うのは、代理店の顧客対応として行う「この契約の保険料が支払われているか」「未入金の場合に顧客へどう案内するか」という契約単位の収納管理です。 代理店全体で受領した保険料を保険会社との間で入金消込・精算する経理処理は、H「経営管理・バックオフィス」のH-4「保険料精算」で扱います。


D-4-1. 保険料請求内容の確認

契約内容に基づく保険料の金額、払込方法、請求時期等を確認し、顧客から問い合わせがあった場合に案内します。変更手続き等によって保険料が変わった場合は、その内容も確認します。


D-4-2. 保険料入金状況の確認

保険会社等から提供される情報をもとに、契約ごとの保険料が正常に入金されているかを確認します。顧客から支払状況について問い合わせを受けた場合にも確認します。


D-4-3. 口座振替不能・未収契約の管理

残高不足、口座情報の不備、カード決済エラー等によって保険料を収納できなかった契約や、払込期限までに入金されていない契約を把握します。契約への影響や次回の払込方法を確認します。


D-4-4. 顧客への入金案内・督促

未入金の顧客へ払込方法、期限、再請求等を案内し、必要な支払いを促します。保険料未払いによって契約が失効・解除等に至る可能性がある場合は、その影響を正確に案内します。


D-4-5. 収納結果と契約データの照合

入金状況と対象契約の情報を照合し、入金済み・未収等の状態が正しく把握されているかを確認します。顧客から「支払ったのに未収になっている」といった問い合わせがあった場合は、必要に応じて保険会社へ確認します。


業務の特徴と難しさ

未収は契約継続に直結する

保険料未払いを放置すると、契約が失効・解除等となり、顧客が必要な保障・補償を受けられなくなる可能性があります。単なる債権回収ではなく、「顧客の保障・補償を継続させる」という視点でのフォローが重要です。


契約単位の収納管理と代理店精算を区別する必要がある

同じ「保険料を管理する」業務でも、顧客一人ひとりの入金状況を確認・案内するD-4と、代理店全体で保険会社との資金を精算するH-4では目的と業務内容が異なります。この二つを分けて整理することで、代理店の現場業務と経理業務の役割が明確になります。




D-5. 解約・失効管理(Cancellation & Lapse Management)

契約者からの契約撤回・解約の申出や、保険料未払い等による失効に対応し、契約が終了・停止するまでの手続きを管理する業務です。 ここでは、クーリングオフ、通常の中途解約、保険料未払い等による失効をまとめて扱いますが、それぞれ性質は異なります。クーリングオフは一定の条件下で申込みの撤回等を行う制度であり、契約期間中に契約者の意思で終了させる通常の中途解約とは別の手続きとして管理する必要があります。


D-5-1. クーリングオフの受付・説明

顧客からクーリングオフの申出があった場合、対象となる契約・期間・手続方法を保険会社のルールに沿って確認し、必要な手続きを案内・取次ぎします。保険業法上、原則として「申込みの撤回等に関する事項を記載した書面等を交付された日」と「申込日」のいずれか遅い日から起算して8日以内が基本ですが、対象外となる契約もあるため個別確認が必要です。


D-5-2. 解約申出の受付

契約者から中途解約の申出を受け付け、本人確認を行ったうえで、解約対象契約や希望する解約日等を確認します。必要な書類・手続方法を案内します。


D-5-3. 解約に伴う不利益の説明

解約によって保障・補償がなくなること、再加入時には年齢・健康状態・事故歴等によって同じ条件で加入できない可能性があることなど、契約に応じた注意事項を案内します。顧客が影響を理解したうえで判断できるようにします。


D-5-4. 解約返戻金などの確認

解約返戻金がある契約について、保険会社の情報に基づいて金額や取扱いを確認し、顧客へ案内します。代理店独自の計算で確定額を約束するのではなく、保険会社が提示する内容を確認します。


D-5-5. 解約書類の案内・取次ぎ

解約請求書、本人確認書類等、契約に応じて必要な書類や手続方法を案内し、顧客から提出された書類・申請を保険会社へ取り次ぎます。


D-5-6. 解約手続きの完了確認

保険会社で解約処理が完了したこと、解約日、返戻金等の取扱いを確認し、代理店側の契約情報も更新します。必要に応じて顧客へ完了を案内します。


D-5-7. 保険料未払い契約の確認

保険料が未払いとなっている契約について、未収期間、払込猶予期間、契約への影響等を確認します。失効・解除等となる可能性がある場合は、対象契約として管理します。


D-5-8. 失効予定・失効契約の管理

保険料未払い等によって失効が予定されている契約や、すでに失効した契約を把握し、必要に応じて顧客へ案内します。顧客が意図しないまま保障を失うことがないよう、事前フォローが重要です。


D-5-9. 復活手続きの案内

失効した生命保険契約等について復活制度を利用できる場合、期限や未払保険料、告知・診査等の必要手続きを案内します。復活の可否を代理店が判断するのではなく、保険会社の要件・査定に沿って手続きを支援します。


D-5-10. 解約・失効理由の記録・分析

解約・失効となった理由を記録し、保険料負担、他社への切替、保障ニーズの変化、顧客対応等の観点から分析します。継続率の改善や商品・顧客対応の見直しに活用します。


業務の特徴と難しさ

クーリングオフ・解約・失効は同じ「契約終了」ではない

クーリングオフは法令等に基づく申込みの撤回等、解約は契約者の意思による契約終了、失効は保険料未払い等により契約の効力が失われる状態であり、発生原因と手続きが異なります。それぞれを区別して顧客へ説明する必要があります。


顧客の保障が失われる重要な手続き

解約や失効によって保障・補償が終了すると、その後に保険事故が発生しても保険金・給付金を受け取れない可能性があります。迅速な処理だけでなく、顧客が契約終了の影響を理解していることが重要です。


解約理由は代理店経営にも重要な情報

解約・失効の発生件数だけでなく、その理由を把握することで、商品、保険料、顧客対応、アフターフォロー等の課題が見えてきます。継続率・解約率と合わせて分析することで、営業や顧客サービスの改善につながります。




D-6. アフターフォロー(After-sales Follow-up)

契約成立後も顧客と継続的に接点を持ち、契約内容や顧客の生活・事業環境の変化を確認する業務です。 保険は契約した時点で終わる商品ではありません。生命保険では数十年にわたって契約が続くことがあり、損害保険でも毎年の更改までの間に車両・建物・事業内容等が変化することがあります。契約時には適切だった保障・補償でも、時間が経つと顧客の実態と合わなくなる可能性があります。 代理店にとってアフターフォローは、保険契約を適切な状態に保つとともに、顧客との長期的な信頼関係を維持するための重要な業務です。


D-6-1. 契約内容の定期確認

顧客が加入している保険の保障・補償内容、保険金額、保険期間、特約等を定期的に確認します。顧客自身が契約内容を忘れている場合もあるため、現在どのような保障・補償があるかを改めて案内します。


D-6-2. 顧客の生活・事業環境変化の確認

結婚、出産、住宅購入、退職、相続、車の買い替え、事業拡大、設備導入等、契約時から顧客の状況が変化していないかを確認します。必要な契約変更や見直しを把握するきっかけになります。


D-6-3. 保障・補償の過不足確認

現在の顧客状況と保有契約を照らし合わせ、保障・補償が不足していないか、反対に重複・過剰になっていないかを確認します。


D-6-4. 更新・見直し時期の案内

満期・更新、特約更新、ライフイベント等、契約を見直すべき時期が近づいた場合に顧客へ案内します。必要に応じてD-3「満期・更改管理」やB「募集(相談・提案)」へつなげます。


D-6-5. 長期未接触顧客への連絡

長期間連絡を取っていない顧客を把握し、住所・連絡先や生活状況、契約内容に変化がないかを確認します。連絡先不明となる前に継続的な接点を持つことも重要です。


D-6-6. 高齢者への継続的フォロー

高齢の契約者について、契約内容や各種手続きを分かりやすく案内し、必要に応じて各社のルールに沿った家族・代理人等との連携方法を案内します。本人の意思確認や個人情報の取扱いに十分配慮します。


D-6-7. 追加提案・クロスセル

顧客状況の変化によって新たな保障・補償ニーズが確認された場合、生命保険・損害保険を含む追加提案を検討します。実際に新たな商品を提案・募集する場合は、B「募集(相談・提案)」の意向把握・商品選定・説明等のプロセスに沿って対応します。


D-6-8. 顧客からの照会対応

契約内容、保険料、変更手続き、満期、保険金・給付金請求等について顧客から問い合わせを受け付け、内容を確認して案内します。保険会社への確認が必要な事項は照会し、結果を顧客へ連携します。


業務の特徴と難しさ

長期的な顧客関係が前提になる

保険代理店は新契約を獲得して終わりではなく、契約後も変更、事故・請求、満期・更改等で顧客と関わり続けます。契約期間が長いほど、継続的に連絡が取れる関係を維持することが重要です。


「保全」と「営業」がつながる領域

アフターフォローで顧客の状況変化を把握すると、新たな保障・補償ニーズが見つかることがあります。ただし、追加提案を行う際には単なる営業機会として扱うのではなく、改めて顧客の意向を確認し、B「募集(相談・提案)」の適切な募集プロセスにつなげる必要があります。


顧客の高齢化への対応

長期の生命保険契約では、加入時は若かった契約者が高齢になり、契約内容の理解や各種手続きが難しくなることがあります。本人の意思を尊重しながら、各社のルールに沿った丁寧なフォローが求められます。



まとめ


保険代理店の契約保全は、契約成立後の情報を管理し、契約期間中に発生するさまざまな変化に対応しながら、顧客の保障・補償を適切に維持する業務です。 生命保険では、数十年にわたる契約の中で名義・受取人・保障内容等の多様な変更が発生します。


損害保険では車両・建物等の保険対象の変更に加え、毎年の満期・更改が大きな業務となります。代理店は、こうした生損保それぞれの契約特性を踏まえながら、顧客と保険会社の間に立って手続きを支援します。 また、契約保全は単なる変更事務ではありません。保険料未収への対応、解約・失効の防止、定期的なアフターフォローを通じて、顧客が必要な保障・補償を継続して受けられる状態を維持することも重要な役割です。


そして、契約期間中に事故、病気、入院、死亡等の保険事故が発生した場合には、次の「E. 支払(保険金・給付金請求支援)」として、事故・請求の受付、契約内容の確認、必要書類の案内、保険会社との連携、支払進捗の確認などへと業務がつながっていきます。


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