保険代理店の主な業務内容
更新日:8月14日
保険代理店の業務は、「見込み顧客を獲得する→相談を受けて商品を提案する→申込みを取り次ぐ→成立後の契約を管理する→保険金・給付金の請求を支援する」という顧客との流れに沿って成り立っています。これに加えて、適切な保険募集を確保するための募集管理・コンプライアンス、募集人や組織の管理、代理店の経営・収益を支えるバックオフィス業務も行っています。
本記事では、保険代理店の業務を、「営業企画・マーケティング」「募集」「計上」「契約保全」「支払」「募集管理・コンプライアンス」「代理店内部管理」「経営管理・バックオフィス」の8つに整理し、各業務領域でどのような業務が行われているかを解説します。
業務の全体一覧は「保険代理店の業務一覧」をご覧ください。
保険代理店が見込み顧客を獲得し、保険相談や商品提案につなげるための業務領域です。営業方針・営業計画の策定、マーケティング施策、見込み顧客・営業案件の管理、提携先との連携などが含まれます。

A-1.営業企画(Sales Planning)
保険代理店として、どの顧客層に、どのような保険商品やサービスを、どのような方法で提供するかを計画する業務です。代理店の経営方針や保有顧客の特性、市場環境、取扱保険会社・商品などを踏まえて、営業方針や売上目標、重点顧客、重点商品を設定します。
また、設定した方針に基づいてキャンペーンや相談会などの営業施策を企画し、その実績や成約率を確認して改善につなげます。保険会社が商品単位・販売チャネル単位で営業戦略を立てるのに対し、代理店の営業企画では、自社の顧客基盤や営業体制に即した具体的な活動計画に落とし込むことが中心となります。
A-2.マーケティング(Marketing)
保険に関心を持つ顧客との接点を作り、相談・提案の機会を獲得する業務です。Webサイト・SNS・広告による情報発信、セミナー・相談会の開催、資料請求や問い合わせの受付などを行います。顧客アンケートや問い合わせ内容、Webサイトの閲覧状況などを分析し、どのような顧客が、どのような保障・補償に関心を持っているかを把握することも重要です。保険は必要性が分かりにくく、顧客が自発的に相談する機会も限られるため、保険やリスクについて理解してもらうための継続的な情報提供が求められます。
A-3.見込み顧客管理(Lead Management)
問い合わせ、資料請求、紹介、セミナー参加などを通じて接点を持った見込み顧客の情報を管理し、保険相談や商談につなげる業務です。氏名・連絡先・家族構成・関心のある保険分野などの情報を登録し、接点の経緯や見込み度を管理します。見込み顧客から相談希望を受けた場合は、面談日程を調整し、顧客の相談内容や居住地域、法人・個人の別などに応じて担当募集人を割り当てます。すぐに契約を検討しない顧客についても、過度な勧誘にならないよう配慮しながら、適切な時期に情報提供やフォローを行います。
A-4.営業案件管理(Opportunity Management)
顧客との相談・商談を案件単位で管理し、成約までの進捗や次回対応を把握する業務です。相談受付、情報収集、商品提案、顧客検討、申込予定などの商談状況を記録し、担当者や次回対応日、必要なタスクを管理します。
成約・失注の結果だけでなく、失注した理由や提案から申込みまでに要した期間などを分析することで、営業活動の改善につなげます。また、担当募集人だけでなく、管理者や事務担当者が案件の状況を共有することで、対応漏れや担当者への属人化を防止します。
A-5.提携先管理(Partner Management)
顧客の紹介や共同募集などを行う提携先を開拓し、提携関係を維持・管理する業務です。不動産会社、自動車販売店、税理士、金融機関、他の保険代理店など、代理店の得意分野や顧客層に応じてさまざまな事業者と連携します。提携にあたっては、提携内容、紹介方法、役割分担、個人情報の取扱い、報酬・精算方法などを明確にします。共同募集を行う場合は、募集行為を担当する代理店や募集人、顧客対応、募集記録の管理、手数料配分などについても適切に管理する必要があります。
顧客の状況や意向を把握し、その意向に沿った保険商品を選定・提案する業務領域です。顧客情報の収集、意向把握、リスク分析、商品選定、比較推奨、商品説明、募集記録の作成・保存などが含まれます。


B-1.顧客情報収集(Customer Information Collection)
顧客に適した保障・補償を検討するために、必要な情報を収集する業務です。本人確認を行ったうえで、個人顧客については家族構成、職業、収入・資産状況、既契約、公的保障などを確認します。法人顧客については、事業内容、拠点、従業員、保有資産、取引関係、事業上のリスクなどを確認します。収集する情報は保険の種類や相談内容によって異なります。必要以上の情報を取得するのではなく、利用目的を明確にし、個人情報を適切に取り扱いながら、提案に必要な範囲で情報を確認することが求められます。
B-2.意向把握(Customer Needs Assessment)
顧客が保険に加入する目的や、希望する保障・補償内容などを把握する業務です。どのようなリスクに備えたいか、どの程度の保険金額や保険期間を希望するか、どの程度の保険料を負担できるかなどを確認します。外貨建保険や変額保険などの市場リスクを伴う商品を提案する場合は、顧客の資産状況、投資経験、リスク許容度なども確認します。把握した意向は記録し、その後の提案内容が顧客の意向に沿っていることを確認できるようにします。
B-3.リスク分析(Risk Analysis)
顧客が抱えるリスクを洗い出し、必要な保障・補償の内容や金額を検討する業務です。個人顧客では、死亡、病気、介護、老後、住宅、自動車事故などのリスクを確認し、公的保障や貯蓄、既契約を踏まえて必要保障額を算定します。法人顧客では、火災、自然災害、賠償責任、労災、サイバー攻撃、事業中断などのリスクを分析します。すべてのリスクを保険で対応するのではなく、事故防止策、自己資金による負担、契約条件の見直しなど、保険以外の対応手段も含めて検討します。
B-4.商品選定(Product Selection)
代理店が取り扱う保険会社・商品の中から、顧客の意向やリスクに沿った商品を絞り込む業務です。保障・補償内容、保険期間、保険金額、保険料、免責金額、引受条件などを確認し、提案候補となる商品を選定します。顧客の希望する保障・補償が商品に含まれているかだけでなく、健康状態、職業、保険対象の状況などから加入可能かどうかも確認します。ただし、最終的な引受可否は保険会社が判断するため、代理店は各社の引受基準を踏まえて提案候補を検討します。
B-5.比較推奨(Comparison and Recommendation)
複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店が、比較可能な商品の中から顧客に提案する商品を選び、その理由を説明する業務です。保障・補償内容、保険料、付帯サービス、引受条件などの違いを整理し、顧客の意向に沿って商品を絞り込みます。代理店は、あらかじめ定めた比較推奨方針に基づき、どのような商品の中から、なぜその商品を推奨したのかを説明します。代理店手数料など、自社の利益を優先して商品を選定したと疑われないよう、利益相反を適切に管理することも重要です。
B-6.提案・説明(Proposal and Explanation)
選定した保険商品の設計書・見積書を作成し、顧客に保障・補償内容や保険料、保険期間、支払条件などを説明する業務です。保険金が支払われる場合だけでなく、免責事項、支払対象外となる場合、解約時の取扱いなど、顧客の判断に重要な情報を分かりやすく説明します。また、募集人が保険会社の代理として契約を締結するのか、契約締結を媒介するのかなど、募集人の権限や立場についても説明します。最終的には、顧客が商品内容を理解し、提案内容が自身の意向に沿っていることを確認したうえで、申込みに進みます。
B-7.募集記録管理(Sales Record Management)
顧客との面談・相談内容、把握した意向、提案商品、比較対象商品、推奨理由、最終的な意向など、保険募集の過程を記録・保存する業務です。重要事項を説明したことや、顧客から同意を得たことを確認できる資料・証跡も保存します。募集記録は、顧客から問い合わせや苦情があった場合に、どのような説明・提案を行ったかを確認するために使用します。また、管理者による点検、内部監査、保険会社による代理店監査などにおいて、適切な募集が行われていたことを確認する基礎資料にもなります。
顧客から保険契約の申込みを受け付け、保険会社による引受査定を経て契約が成立するまでの手続きを支援する業務領域です。申込手続き、告知手続きの案内、書類点検、保険料支払手続き、引受査定への対応、契約成立の確認などが含まれます。


C-1.申込手続き(Application Procedures)
顧客が決定した申込内容を最終確認し、申込書や電子申込データを作成する業務です。契約者・被保険者・保険対象などの情報を入力し、顧客本人から申込みに必要な同意・署名を取得します。本人確認書類などの必要書類を取り付けたうえで、保険会社の代理店向けシステムなどを通じて申込データを送信します。入力内容の誤りは査定の遅延や契約内容の相違につながるため、顧客の意向や設計書・見積書と整合していることを確認します。
C-2.告知手続き支援(Disclosure Support)
生命保険や医療保険などの申込みにおいて、顧客が健康状態や職業などを正しく告知できるよう、告知の重要性や手続き方法を案内する業務です。必要に応じて、健康診断書の提出、医師による診査、面接士との面談などについても案内します。生命保険募集人には原則として告知受領権がないため、募集人が顧客に代わって告知内容を判断したり、告知しないよう勧めたりすることはできません。代理店は、顧客自身が保険会社に対して正確に告知できるよう、手続き面を支援します。
C-3.申込書類点検(Application Document Check)
申込書や必要書類に記入漏れ、入力誤り、署名漏れ、不整合などがないかを点検する業務です。申込内容が設計書や見積書、募集記録、顧客の最終意向と一致しているかも確認します。不備が見つかった場合は、顧客に訂正・追加書類を依頼し、再度保険会社へ提出します。不備の発生は契約成立までの期間を長期化させ、顧客・代理店・保険会社の事務負担を増加させるため、申込時点での正確な点検が重要です。
C-4.保険料支払手続き(Premium Payment Procedures)
顧客に保険料の金額、支払時期、支払方法を案内し、口座振替やクレジットカードなどの登録を行う業務です。商品や契約形態によっては、初回保険料の入金状況を確認します。入金や支払方法の登録が完了していない場合は、顧客に連絡して必要な手続きを案内します。責任開始の時期や契約成立の条件に保険料の入金が関係する場合もあるため、申込時に正確な説明を行う必要があります。
C-5.引受査定対応(Underwriting Support)
保険会社による引受査定の進捗を確認し、追加書類や追加情報が求められた場合に顧客へ案内する業務です。保険会社から申込内容、健康状態、保険対象、事故歴などについて照会があった場合は、顧客に確認して必要な情報を連携します。引受可否や引受条件を判断するのは保険会社です。代理店は、特別条件付きでの引受、保険金額の制限、引受不可、契約延期などの査定結果を顧客に伝え、必要に応じて申込内容の再検討を支援します。
C-6.契約成立管理(Policy Issuance Management)
保険会社による引受査定が完了した後、契約の成立・計上状況を確認し、顧客へ連絡する業務です。契約日、保険期間、責任開始日、保障・補償内容、保険料などが申込内容と一致していることを確認します。保険証券や契約内容を記載した書類が発行された場合は、その内容や顧客への送付状況を確認します。また、成立した契約を代理店の顧客・契約管理情報に登録し、申込書類や募集記録などの証跡を適切に保管します。
契約成立後の顧客・契約情報を管理し、住所変更、契約内容変更、満期・更改、保険料未収、解約・失効、アフターフォローなどに対応する業務領域です。


D-1.契約情報管理(Policy Information Management)
代理店が取り扱う顧客・契約情報を登録・更新し、必要なときに正確な契約内容を確認できるようにする業務です。保険会社から契約データを取得し、顧客と契約、契約者・被保険者・受取人、車両・建物などの保険対象を紐付けて管理します。複数の保険会社の商品を取り扱う代理店では、同じ顧客の生命保険・損害保険契約が別々に管理される場合があります。そのため、氏名・住所などをもとに顧客を名寄せし、世帯・家族・法人単位で契約を把握することが重要です。データの重複や不備を確認し、契約書類・対応履歴なども顧客・契約情報と関連付けて保管します。
D-2.契約保全 - 変更手続き -(Policy Changes)
契約成立後に顧客情報や契約内容が変わった場合に、保険会社への変更手続きを取り次ぐ業務です。住所・連絡先、契約者・名義・受取人、車両・所在地・対象物件、保障・補償内容、保険金額、特約、保険料払込方法などの変更を受け付けます。生命保険では、払済保険・延長保険への変更や契約者貸付など、長期契約特有の手続きも発生します。代理店は、変更に伴う保障・補償や保険料への影響を顧客に案内し、必要書類を取り付けて保険会社へ連携し、手続きが完了したことを確認します。
D-3.満期・更改管理(Renewal Management)
満期を迎える契約を抽出し、顧客への案内から更新・継続手続きまでを管理する業務です。特に損害保険は1年契約が多いため、毎年多数の契約について満期案内と更改手続きが発生します。更改時には、顧客の生活・事業環境、保険対象、事故歴、保障・補償ニーズなどを再確認し、新しい契約条件と保険料を案内します。顧客の更改意思を確認して更新手続きを行うとともに、未対応・未更改契約をフォローし、更改率や継続率を管理します。
D-4.保険料収納管理(Premium Collection Management)
顧客ごとの保険料請求・入金状況を確認し、未収や口座振替不能が発生した契約に対応する業務です。支払期日までに入金されていない場合は、顧客に入金方法や契約への影響を案内し、必要に応じて督促を行います。保険料が支払われない状態が続くと、契約の解除・失効や保障・補償が受けられない事態につながる可能性があります。そのため、収納結果と契約情報を照合し、対応が必要な契約を早期に把握することが重要です。ここでは顧客・契約単位の入金確認を扱い、代理店全体としての保険会社との精算はH-4「保険料精算」で行います。
D-5.解約・失効管理(Cancellation and Lapse Management)
顧客からのクーリングオフや解約の申出、保険料未払いによる失効などに対応する業務です。解約を受け付ける場合は、保障・補償の終了、解約返戻金、再加入時の条件など、解約によって顧客に生じる不利益を説明し、必要書類を案内します。保険料未払いによる失効が見込まれる契約については、顧客への案内や入金状況の確認を行います。失効後に復活が可能な契約については、手続きや告知の必要性などを説明します。また、解約・失効理由を記録・分析し、商品提案やアフターフォローの改善につなげます。
D-6.アフターフォロー(After-Sales Follow-up)
契約成立後も定期的に顧客へ連絡し、契約内容や保障・補償の過不足を確認する業務です。結婚、出産、住宅購入、退職、事業拡大、保有資産の増減など、顧客の生活・事業環境が変化した場合は、現在の契約が実態に合っているかを確認します。
満期・更新時期の案内だけでなく、長期間接点のない顧客や高齢の契約者への継続的なフォローも重要です。必要に応じて契約内容の変更や追加提案を行い、顧客からの契約・手続きに関する照会にも対応します。
事故、病気、入院、死亡などの保険事故が発生した際に、顧客による保険金・給付金請求を支援する業務領域です。代理店は支払査定を行うのではなく、事故・請求受付、必要書類の案内、保険会社との連携、進捗確認などを担います。


E-1.事故・請求受付(Claim Notification)
顧客から事故・損害、入院・手術・疾病、死亡・高度障害などの連絡を受け付ける業務です。発生日時、場所、状況、関係者、被害内容などを確認し、保険会社へ連携するための受付記録を作成します。自動車事故や火災などでは、警察・消防への連絡、修理工場や事故受付窓口への連絡、被害拡大防止など、事故直後に必要な初動対応を案内します。顧客の安全確保を優先しながら、正確な情報を確認することが求められます。
E-2.補償・保障確認(Coverage Confirmation)
事故・病気などに関係する契約を特定し、契約が有効であるか、どのような保障・補償や特約が付帯されているかを確認する業務です。利用できる可能性のある付帯サービスや、複数契約による保障・補償の重複についても確認します。代理店は、契約内容に基づいて一般的な案内を行いますが、保険金・給付金の支払可否を確定することはできません。免責事項や支払対象外となる可能性がある場合も、最終判断は保険会社が行うことを前提に説明します。
E-3.請求手続き支援(Claim Procedure Support)
顧客が保険金・給付金を請求するために必要な手続きや書類を案内する業務です。保険金・給付金請求書、診断書、事故証明書、修理見積書など、請求内容に応じた書類を案内し、顧客から取り付けます。提出書類に不足や記載不備がある場合は、顧客に追加・訂正を依頼します。代理店が請求書類を取り次ぐ場合は、受領した書類を保険会社へ送付し、事故報告・請求受付が完了したことを確認します。
E-4.保険会社連携(Insurer Coordination)
受け付けた事故・請求情報や書類を保険会社へ連携し、その後の照会や追加確認に対応する業務です。保険会社から確認事項や追加書類の依頼があった場合は、顧客へ連絡して必要な情報を取り付けます。顧客と保険会社の間で認識の相違が生じないよう、伝達内容や対応履歴を記録します。ただし、代理店が保険会社に代わって支払判断や示談交渉を行うことはできないため、それぞれの権限と役割を明確にして対応します。
E-5.支払進捗管理(Claim Progress Management)
保険会社に連携した請求案件について、受付・査定・支払などの進捗状況を確認する業務です。長期間処理が進んでいない案件や、追加書類が未提出となっている案件を把握し、保険会社または顧客へ確認します。顧客から進捗について問い合わせがあった場合は、保険会社に確認して状況を連絡します。最終的に支払・不払の結果と対応完了を確認し、代理店内の受付記録や対応状況を更新します。
E-6.支払後フォロー(Post-Claim Follow-up)
保険金・給付金の支払後に顧客へ連絡し、支払結果やその後の状況を確認する業務です。事故や請求によって契約内容・保険金額・等級などに影響が生じる場合は、今後の契約について説明します。事故の再発防止やリスク軽減について助言し、必要に応じて保障・補償内容の見直しを行います。また、請求時の顧客意見や対応結果を記録し、今後の顧客対応や業務改善に活用します。
保険募集や顧客対応が、法令、監督指針、保険会社との委託契約、代理店の社内規程などに沿って適切に行われているかを管理する業務領域です。


F-1.募集管理(Sales Management)
適切な保険募集を確保するため、代理店としての募集方針や社内規程、業務ルールを整備・運用する業務です。意向把握、比較推奨、高齢者募集、特定保険契約などについて、募集人が従うべき手順や判断基準を定めます。一定の条件に該当する募集案件について事前承認を行うほか、募集後は面談記録、意向確認、商品提案、顧客同意などの記録を点検します。不適切な募集や記録不備が発見された場合は、募集人への指導、顧客対応、業務手順の見直しなどを行います。
F-2.募集文書管理(Sales Material Management)
パンフレット、チラシ、提案資料、Webサイト、広告など、保険募集に使用する文書・コンテンツを適切に管理する業務です。保険商品の内容を誤認させる表現や、保障・補償が確実に受けられると誤解させる表現などがないかを確認します。使用する資料について、保険会社による承認の要否、募集文書番号、使用期限などを確認し、承認されていない資料や期限切れの資料が使用されないよう管理します。商品改定や法令変更があった場合は、旧版資料を回収・廃棄して新しい資料へ切り替えます。
F-3.苦情管理(Complaint Management)
顧客から寄せられた苦情や不満、要望を受け付け、記録・調査・対応する業務です。苦情の内容、対象となる募集人・契約、発生原因、顧客への対応状況などを記録し、必要に応じて保険会社へ報告します。個別の顧客対応を完了させるだけでなく、苦情の原因や発生傾向を分析し、募集人教育、商品説明、手続き、業務体制などの改善につなげます。再発防止策を策定した場合は、その実施状況と効果も継続的に確認します。
F-4.不祥事件・コンプライアンス管理(Compliance Incident Management)
法令違反、不適切募集、保険料の不正流用、個人情報漏えいなどの問題を検知し、調査・報告・是正する業務です。問題が発生した場合は、事実関係、関係者、影響を受けた顧客、対象契約、被害範囲などを確認します。経営層・保険会社への報告、顧客被害への対応、当局報告の要否確認、関係者への指導・処分、原因分析、再発防止策の策定までを行います。また、保険会社・商品による利益相反の管理や、反社会的勢力との関係を排除するための確認・対応も、この業務に含まれます。
F-5.顧客情報管理(Customer Information Management)
代理店が保有する顧客・契約情報を、個人情報保護法や社内規程に従って適切に取り扱うための業務です。顧客情報の取得・利用目的、同意、アクセス権限、持出し、メール送信、書類・電子データの保管、保存期間、廃棄方法などを管理します。情報漏えいや紛失が発生した場合は、事実確認、影響範囲の特定、顧客・保険会社への連絡、再発防止などを行います。また、顧客情報を取り扱う委託先について、情報管理状況を点検します。委託先全体の選定・契約・業務品質管理は、H-6「委託先管理」で扱います。
F-6.内部監査(Internal Audit)
代理店の業務が法令・社内規程・保険会社との委託契約などに沿って行われているかを、業務執行部門から独立した立場で検証する業務です。代理店の規模やリスクに応じて監査計画を策定し、営業拠点、募集人、募集記録、契約書類、顧客情報管理などを確認します。
監査で問題が発見された場合は、指摘事項、改善責任者、対応期限を明確にし、改善状況を継続的に確認します。監査結果は経営層へ報告し、業務ルール、教育、組織体制などの改善につなげます。
F-7.保険会社監査対応(Insurer Audit Response)
保険会社が代理店に対して実施する点検・監査に対応する業務です。募集管理、顧客情報管理、募集人教育、保険料管理などに関する規程・帳票・募集記録・証跡を準備し、質問や追加資料の依頼に対応します。監査で指摘を受けた場合は、その内容を整理して改善計画を策定し、期限までに改善を実施・報告します。乗合代理店では複数の保険会社から点検・監査を受けるため、指摘事項や改善状況を一元的に管理し、代理店全体の業務改善につなげることが重要です。
適切な保険募集を行うために、募集人、組織、拠点、代理店委託契約などを維持・管理する業務領域です。


G-1.募集人登録管理(Agent Registration Management)
保険募集を行う役員・従業員について、必要な登録・届出を行い、登録情報を管理する業務です。採用時に使用人要件などを確認し、募集人として必要な登録手続きを行います。あわせて、取り扱う保険会社への登録・届出も行います。氏名、所属拠点、取扱保険会社などの登録内容に変更が生じた場合は、変更手続きを行います。募集人が異動・退職した場合は、登録廃止や契約・顧客の引き継ぎを行い、募集人情報を記載した台帳を最新の状態に維持します。
G-2.資格管理(Qualification Management)
募集人が保険商品を取り扱うために必要な試験・資格を取得し、有効な状態を維持しているかを管理する業務です。生命保険・損害保険の募集人試験、商品別資格、変額保険などの専門資格について、受験・合格・有効期限を管理します。資格の更新や継続教育が必要な場合は、対象者と期限を把握して受講・更新を促します。資格を取得していない、または資格が失効した募集人が該当商品を募集しないよう、資格に応じて募集可能な保険会社・商品・業務範囲を管理します。
G-3.教育・研修管理(Training Management)
募集人が適切な保険募集を行うために必要な知識・スキルを身に付けるよう、教育・研修を企画・実施する業務です。年間教育計画を策定し、入社・登録時研修、商品研修、コンプライアンス研修、顧客情報・情報セキュリティ研修などを行います。事故・苦情・不祥事件の事例も共有し、同様の問題が発生しないよう教育します。研修を実施するだけでなく、受講状況や理解度を確認し、未受講者や理解が不十分な募集人に対して追加研修・指導を行います。
G-4.権限管理(Authorization Management)
募集人や従業員が担当できる業務、取り扱える保険会社・商品、利用できるシステム・情報の範囲を設定・管理する業務です。担当業務、資格、役職、所属拠点などに応じて、募集権限、システムアクセス権限、承認権限を付与します。申込者と承認者を分けるなど、職務分掌と相互牽制が機能する体制を整備することも重要です。異動・退職時には不要となった権限を速やかに削除し、権限設定が現在の業務・組織と一致しているかを定期的に点検します。
G-5.人事・労務管理(Human Resources and Labor Management)
代理店で働く募集人・事務担当者・管理者などの採用、配置、勤怠、評価、給与、労務を管理する業務です。代理店の営業方針や保有契約数、拠点体制に応じて必要な人員を確保し、適切な役割へ配置します。募集人の営業実績や業務品質などを踏まえた人事評価、給与・賞与・歩合の計算も行います。法令・社内規程に違反した従業員に対する懲戒・処分、退職時の顧客・契約・業務の引き継ぎなども含まれます。
G-6.組織・拠点管理(Organization and Branch Management)
代理店の組織体制や営業拠点を整備し、責任者、業務分担、報告経路などを明確にする業務です。店舗・支店・営業所の開設・変更、拠点責任者の設定、営業時間や顧客対応体制の管理などを行います。複数拠点を持つ代理店では、拠点ごとの営業・事務・コンプライアンス状況を把握し、本社との情報共有・報告体制を整備します。会議体の運営、社内規程・マニュアルの周知、代理店内の重要事項の共有なども、この業務に含まれます。
G-7.代理店委託契約・商品管理(Agency Agreement and Product Management)
保険会社との代理店委託契約を締結・更新し、代理店が取り扱う保険会社・商品を管理する業務です。委託契約書や関連規程を保管し、保険会社ごとの権限、責任、業務ルールなどを確認します。乗合代理店では、複数の保険会社との委託関係を管理するとともに、取扱商品ラインナップを整備します。また、比較推奨販売を適切に行うため、どの保険会社・商品を比較・推奨の対象とするか、その選定基準と見直し方法を管理します。
代理店の経営状態、収益、業務基盤を管理し、事業を安定的に継続・発展させるための業務領域です。


H-1.経営計画管理(Business Planning)
代理店の経営方針や事業計画、売上・利益目標、予算などを策定・管理する業務です。市場環境、保有顧客、取扱保険会社・商品、営業人員などを踏まえて、保険会社別・保険種目別の営業戦略や店舗・人員計画を定めます。計画策定後は、売上、利益、契約件数などの実績を定期的に確認し、計画との差異を分析します。目標未達や収益性の低下などの経営課題がある場合は、その原因を特定し、営業施策、業務改善、人員配置などの対応策を実行します。
H-2.営業実績管理(Sales Performance Management)
新契約、保有契約、保険料、手数料などの営業実績を集計し、代理店の営業状況を把握する業務です。保険会社別、商品別、拠点別、募集人別などの単位で実績を管理します。
契約件数・保険料だけでなく、更改率・継続率、解約率・失効率、面談件数、提案件数、成約率なども管理します。これらのKPIを分析することで、営業活動の課題や募集人・拠点ごとの傾向を把握し、営業計画や教育・支援施策の改善につなげます。
H-3.手数料管理(Commission Management)
保険会社から代理店に支払われる代理店手数料を確認・管理する業務です。保険会社や商品、契約条件、代理店評価などによって手数料体系が異なるため、適用される料率や計算方法を管理します。保険会社から受領した手数料明細を取り込み、契約実績と計算結果を照合します。未収、過払い、計算差異などがある場合は、原因を確認して保険会社へ照会します。また、募集人・提携先・共同募集先などへの手数料配分や、手数料収入の収益分析も行います。
H-4.保険料精算(Premium Settlement)
代理店扱契約について顧客から収納した保険料を管理し、保険会社と精算する業務です。契約データと入金データを代理店全体・保険会社単位で突合し、収納した保険料を所定の期日までに保険会社へ送金・報告します。未収・過収、返戻保険料、契約内容との不一致などが発生した場合は、原因を調査して精算差異を解消します。団体契約で給与控除・チェックオフを行う場合は、加入者ごとの保険料と団体から受領した金額を照合します。顧客ごとの入金確認・督促は、D-4「保険料収納管理」で扱います。
H-5.経理・財務管理(Finance and Accounting)
代理店の売上・費用、請求・支払、資金繰り、決算、税務などを管理する業務です。代理店手数料などの収益、人件費・広告費・システム利用料などの費用を計上し、月次・年次の収支と財務状況を把握します。請求書の発行・受領、経費の支払い、預金残高や資金繰りの管理、決算書・税務申告書の作成など、一般企業と共通する経理・財務業務を行います。収益性や財務安全性などの経営指標を分析し、経営計画や投資判断にも活用します。
H-6.委託先管理(Outsourcing Management)
代理店業務の一部を外部事業者へ委託する場合に、委託先の選定から契約、業務品質、監査、契約終了までを管理する業務です。委託先の業務遂行能力、財務状況、情報セキュリティ、個人情報管理体制などを審査します。委託契約では、対象業務、責任範囲、サービス水準、再委託、事故発生時の報告などを明確にします。契約後は、業務品質・実績・情報管理状況を定期的に確認し、問題がある場合は改善を求めます。個人情報保護に限定した日常的な点検は、F-5「顧客情報管理」でも行います。
H-7.IT・事業継続管理(IT and Business Continuity Management)
代理店業務で使用するシステム、パソコン、スマートフォン、ネットワーク、アカウントなどを管理し、安全・安定的に利用できる状態を維持する業務です。ソフトウェア更新、ウイルス・不正アクセス対策、データバックアップ、アクセス権限管理などを行います。
サイバー攻撃、情報漏えい、システム障害、自然災害、感染症などが発生した場合に備えて、事業継続計画を策定します。緊急連絡網、代替拠点、在宅勤務、顧客対応、データ復旧などの手順を整備し、障害・災害発生時にも重要な代理店業務を継続・早期復旧できる体制を構築します。
まとめ
保険代理店は、保険商品を顧客に販売するだけでなく、相談・提案から申込み、契約後の変更・更改、保険金・給付金請求まで、顧客を継続的に支援しています。
一方で、保険募集には意向把握、比較推奨、重要事項説明、募集記録などの厳格なルールが設けられています。代理店は、募集人の登録・資格・教育、募集記録の点検、苦情・不祥事件対応、顧客情報管理、内部監査などを通じて、適切な保険募集を確保しなければなりません。さらに、代理店手数料や保険料精算、経理・財務、委託先、IT・事業継続など、代理店という企業を維持するための経営管理・バックオフィス業務も必要です。
このように保険代理店は、顧客と保険会社をつなぐ販売チャネルであると同時に、契約前の相談から契約後のアフターフォロー、保険事故発生時の請求支援までを担う、顧客にとって身近な保険サービスの提供主体となっています。



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