保険業務 UATシナリオの作り方 - ⓪大きな考え方 -
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更新日:2 日前
目次 ① UATの位置づけ ② UAT計画書の目次例と範囲 ③ UATシナリオの考え方 ④ UATシナリオとUATケース ⑤ UATシナリオ例の案内
① UATの位置づけ
保険会社の業務改善に向けたプロジェクトの最終フェーズで、業務部門でのユーザー受入テスト(以下、UAT)を行います。要件定義後のUATまでの工程では、システム開発ベンダー等の開発側が作成した成果物をレビューし、承認する役割だった保険会社の業務部門が自ら主体となって計画・準備から実行までを行うフェーズとなり、通常業務を行いながらの対応でリソースが足りず、外部のコンサルティングファーム等に支援依頼を行うケースがあります。今回は、過去の支援経験を踏まえて、”UATシナリオの作成“にフォーカスを当てて、業務部門でのUATの実行方法を説明していきます。

システム開発を伴う保険業務BPRプロジェクトのテスト工程は、一般的に、単体テスト⇒結合テスト(内部結合・外部結合)⇒総合テスト⇒UATという順序で進めていきます。システムの品質を確保するテスト工程の推進主体はシステム部門・開発ベンダーですが、システムをリリースする最後のテストは業務部門が主体となって推進をします。

UATは実際に新たな業務を行う現場ユーザー(保険会社の業務担当者)が、ステム観点ではなく、本番運用を想定した業務シナリオを使って実施するテストです。要件定義で定義した業務側の要件がインプットになり、新業務フローに沿って「実際の業務を新システムを使って行えるか」を業務部門が自ら最終確認します。業務担当者が通常業務と並行してテストするため、要員・リソース確保を含めたスケジュール調整が重要です。
② UATの位置づけ

上記は一般的なUAT計画書の目次例となります。この中で保険会社の業務部門で最も計画・準備に時間を要する傾向があるのが、「3. UATシナリオ」となります。

まずは、UATで確認する範囲・方針を決めます。基幹システムのリプレイスだったら保険業務全体がスコープになり得ますし、とある業務領域のプリケーション開発だったら、この中の一部の領域がスコープになります。対象となる業務領域と方針を明確にした上で、どのようなUATシナリオでテストするかを整理します。
③ UATシナリオの考え方

UATシナリオとは、実際に業務担当者が実行するテストの手順です。UATでは対象業務の開始から終了までを一気通貫して確認しますが、業務開始ポイントから後続の作業内容が変わるポイントを分岐点として、シナリオを整理していき、各シナリオの中での業務の確認観点を落とし込んでいきます。例えば、保険金支払だと顧客からの請求方法で作業内容が異なるため、請求方法パターンを最初の分岐点としてシナリオを作成していきます。また、保険商品ごとに支払査定業務が異なるため、商品パターンを次の分岐点としてシナリオを作成していきます。

後続の業務内容が変わるタイミングをどんどん分岐させていくと、分岐点の掛け算となって膨大なシナリオができてしまいます。各シナリオで同じ確認を行うことになり、リソース的な制約もあるため、分岐点とするのは業務領域の主要なポイントのみとします。上の図(保険金支払)の例だと、”請求方法”×”商品”×”請求事由”くらいで分岐させたものを基本シナリオとして、このシナリオの中で業務上確認したい細かい観点を加えていきます。例えば、紙の請求書の不備への対処パターン等を各シナリオで打ち取っていきます。業務フローやマニュアルで定められる作業がすべて網羅されることを意識することも重要です。
④ UATシナリオとUATケース

UATシナリオが「実際に業務担当者が実行するテストの手順(業務プロセス単位)」なのに対して、UATケースは「シナリオを構成する個々の確認手順(具体的にどんな操作して何を確認するか)」を定義したものです。作成したUATシナリオごとに、”システムにデータを入力する”、”入力内容を確認する”、”査定を実施する”、”査定結果を承認する”というような粒度でUATケースを定義していきます。概ねユーザーインターフェーズごと・業務担当者ごとくらいの粒度になると思います。UATの計画を立てる際には、UATケースごとに、テスト担当者・実施日・テスト結果(OK/NG)を管理して推進していきます。
⑤ UATシナリオ例の案内
ここまでUATシナリオ作成の大きな考え方を記載してきましたが、いくつかの保険業務領域ごとにもう少し深く説明していきたいと思います。
新契約引受ペット保険商品のケースをもとに、保険契約の締結から引受査定・証券発行までの流れをUATシナリオに落としていきます。
保険金支払い生命保険会社の医療保険商品のケースをもとに、顧客からの請求受付から支払査定・着金までの流れをUATシナリオに落としていきます。
異動(契約管理)自動車保険商品のケースをもとに、異動受付から引受査定・承認までの流れをUATシナリオに落としていきます。
満期更改火災保険商品のケースをもとに、満期案内から継続受付・引受査定・継続証発行までの流れをUATシナリオに落としていきます。



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