保険業務 UATシナリオの作り方 - ③異動(自動車保険) -
- 1 日前
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目次
① UATシナリオの考え方(異動)
② 異動のシナリオ分岐観点
③ 異動(自動車保険)のシナリオ例
④ 異動(自動車保険)のケース例
⑤ UAT推進でお困りの方へ
前回までは、UATシナリオの作成に向けた大きな考え方、新契約引受(ペット保険)のUATシナリオ例、保険金支払(医療保険)のUATシナリオ例を紹介しました。
今回も、業務領域と保険種目を少し変えて、損害保険会社の主力である自動車保険における異動業務におけるUATシナリオとUATケースを例として整理していきます。異動とは、主に契約成立後の契約管理の中の契約変更のことを言います。生保では”保全”と言いますが、今回は自動車保険なので、損保での業務名を使っていきます。
① UATシナリオの考え方(異動)
それでは、自動車保険における「異動」のUATシナリオを考えていきたいと思います。契約者から契約変更の申し出を受け付け、異動データ取込、異動査定、承認、追徴・返戻、異動通知までの一連の業務を新システムで運用できるかをUATで検証するためのシナリオ・ケースをどのように作っていくかを整理します。

まず、新契約引受や保険金支払と同じように、UATの基本シナリオを整理すべく、シナリオを分岐させるポイントを考えていきます。繰り返しますが、シナリオの分岐点とは「後続の業務の作業内容・システムの処理内容・アウトプットが変わるポイント」と定義します。
”どのような異動事由か”で、異動査定の内容(確認事項・必要書類・判断ロジック 等)が異なります。車両入替であれば車検証を確認して、車両保険金額や型式料率クラスをもとに異動保険料を算出しますが、住所変更なら契約者からの申し出をもとに手続きして異動査定なしで計上処理する等、UATで検証する業務内容が枝分かれする主な起点を整理していきます。
② 異動のシナリオ分岐観点

自動車保険の異動の基本シナリオの分岐観点を例として整理しました。 (各保険会社の業務内容やプロジェクトの種類によって異なるため、あくまで例となります。)
1. 商品 ①個人向け自動車 ②法人向け自動車 ③バイク保険 ④ドライバー保険
2. 異動経路 ①契約者マイページ ②コンタクトセンター ③代理店 紙申込 ④代理店 タブレット 3. 異動事由 ①住所変更 ②連絡先変更 ③改姓・改称・訂正 ④契約者変更 ⑤被保険者変更 ⑥車両入替 ⑦ナンバー変更 ⑧用途・車種変更 ⑨所有者変更 ⑩車両保険価額変更 ⑪運転者限定変更 ⑫年齢条件変更 ⑬使用目的変更 ⑭補償内容変更 ⑮特約追加・削除 ⑯支払方法変更 ⑰解約 ⑱失効・解除 ⑲中途更改 ⑳証券再発行
上記3つの分岐観点のパターンをもとに、基本シナリオを枝分かれして作成していきます。 例として、1.商品として①個人向け自動車保険で、2.異動経路①契約者マイページで、3.異動事由①住所変更の異動請求を受け付けた業務フローを一つの基本シナリオとして整理します。基本的には、分岐観点のパターンを掛け算して基本シナリオを作成します。
1.商品(4パターン)×2.異動経路(4パターン)×3.異動事由(20パターン)だと合計320ケースになりますが、ここから実際に通らないシナリオを考慮します。例えば、商品②法人向け自動車保険は異動事由⑬使用目的変更がない場合はシナリオからは削除します。また、ほぼ同じような業務内容となるシナリオがある場合は統合したりして、業務部門リソースも勘案して数を調整していきます。
③ 異動(自動車保険)のシナリオ例


上記のような感じで、スプレッドシートに一つの基本シナリオを1行として整理していきます。これらの基本シナリオの中で、さらに細かに確認していきたい観点を整理していきます。シナリオで分岐させるほどではないが、業務としてあり得るパターンを一つ一つ打ち取っていくイメージです。例えば、下記のような確認観点があると考えます。
A 不備内容
契約者不備/代理店不備/収納不備/査定不備 等
B 異動対象契約
1年契約/長期契約/明細付き契約(セミフリート)/明細付き契約(フリート)/1~3等級/事故受付中/一括払い/年12回払い 等
C 異動査定パターン
代理店/営業店担当者/課支社長/部店長/本店 等
D 異動査定結果
OK/NG
E 追徴
一括追徴/分割追徴/一括追徴(集金)/分割追徴(第一回目集金) 等
F 返戻
一括返戻/分割返戻 等
上記は確認観点のほんの一部で、UATとして(新システムで業務運用できるか)確認しておきたい点を業務担当者と一緒に検討し、業務フローやマニュアルで定められる作業がすべて網羅されるUATシナリオとして作成します。
④ 異動(自動車保険)のケース例
確認観点も含めて、UATシナリオを作成したら各シナリオごとにUATケースを作成していきます。前回の記事でも説明しましたが、UATケースは「シナリオを構成する個々の確認手順(具体的にどんな操作して何を確認するか)」を定義したものです。
作成したUATシナリオごとに、”システムにデータを入力する”、”入力内容を確認する”、”査定を実施する”、”査定結果を承認する”というような粒度でUATケースを定義していきます。概ねユーザーインターフェーズごと・業務担当者ごとくらいの粒度になると思います。UATの計画を立てる際には、UATケースごとに、テスト担当者・実施日・テスト結果(OK/NG)を管理して推進していきます。

上記は、自動車保険の異動業務の中の一つのUATシナリオのUATケース例です。
異動の業務フロー(異動受付⇒登録⇒異動査定⇒決裁・承認 等)に沿って、シナリオで定めた業務パターンを検証できるように整理していきます。また、シナリオに含めた確認観点も消化できるようにケースを作成します。
一つのUATケースごとに打鍵内容と検証項目(OKとなる条件)を定義し、1ケースに対してテスト実施と結果が管理できるようなフォーマットとします。上記のUATケース表はシナリオの数だけ作成することになるので、作成工数も踏まえてどのくらい細かく定義するかも考慮して進めます。
⑤ UAT推進でお困りの方へ
以上、UATシナリオ・ケースの作成方法を解説しました。実際のUATの推進でお困りの方、まずは壁打ち相手等でご相談に乗りますので、お気軽にご連絡ください。



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