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投資性の強い生命保険

  • 1 日前
  • 読了時間: 7分

1. 「保険なのに、損をすることがある?」


生命保険というと「保険料を支払えば、将来決められた保険金や解約返戻金を受け取れるもの」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、生命保険の中には支払った保険料より受け取る金額が少なくなる可能性がある商品も存在します。その代表例が、変額保険や外貨建て保険などの「投資性の強い生命保険」です。

これらの商品は、万一に備える保険機能に加えて、資産運用の要素も持っています。そのため運用成果や為替相場の影響を受け、受取額が増えることもあれば減ることもあります。

今回は、通常の生命保険との違いを整理しながら、投資性の強い生命保険の仕組みとリスクを解説します。


2. 投資性の強い生命保険とは何か


通常の生命保険と投資性の強い生命保険の最大の違いは、保険会社が保険料をどのように運用するかにあります。


一般勘定と特別勘定

通常の生命保険では、契約者から預かった保険料は「一般勘定」で運用されます。一般勘定では保険会社が国債や社債などを中心に安定運用を行い、契約時に定められた予定利率をもとに保険金や解約返戻金が設計されています。そのため契約者は市場価格の変動を直接受けません。一方、変額保険などでは「特別勘定」が利用されます。特別勘定では株式・債券・投資信託などで運用され、その成果が契約者ごとに反映されます。運用が好調なら受取額は増え、不調なら減るという仕組みです。生命保険会社の資産運用は、会社全体の資産を運用する「一般勘定」の話でした。これに対して特別勘定は、契約者ごとに運用成果が個別に反映される点が大きく異なります。


3. 変額保険

変額保険は、保険料の一部を特別勘定で運用し、その成果が保険金や解約返戻金などに反映される保険です。


(1)変額終身保険

一生涯の死亡保障を確保しながら、長期間の資産運用も期待できる商品です。死亡保険金には最低保証が設けられている商品が一般的ですが、解約返戻金は運用成果によって増減するため、解約時期によっては元本を下回ることがあります。長期保有を前提に考えられる人、死亡保障と資産形成を両立したい人に向いています。

(2)変額養老保険

保障と満期時の資産形成を両立する商品です。死亡保険金・満期保険金とも運用成果の影響を受けます。特に満期保険金には最低保証がない商品も多く、運用状況によっては払込保険料を下回る可能性があります。一定期間後の資金準備を考えている人、リスクを理解したうえで運用成果を期待したい人に向いています。

(3)変額年金保険

老後資金を積み立てることを目的とした商品です。積立期間中は株式や債券などで運用され、将来年金として受け取ります。近年は銀行窓口などでも多く販売されています。運用成果によって将来受け取る年金額が変動し、商品によっては年金原資の最低保証が付いているものもありますが、保証内容は商品ごとに異なります。老後資金を長期間運用したい人、投資経験があり価格変動を理解している人に向いています。


4. 外貨建て保険

外貨建て保険とは、保険料や保険金、解約返戻金などが米ドルや豪ドルなどの外貨で設定されている生命保険です。国内より金利の高い国の通貨を利用することで、日本円建て保険より高い予定利率が設定されることがあります。


為替リスクとは

外貨建て保険では、保険会社から支払われる金額は外貨で決まっています。しかし日本で生活する多くの人は最終的に円へ換算して受け取るため、為替レートによって受取額が変動します。円安なら受取額は増え、円高なら受取額は減る——これを為替リスクといいます。また、円と外貨を交換する際には為替手数料がかかることもあります。

為替ヘッジ

為替リスクを抑える方法として為替ヘッジがあります。為替ヘッジとは、将来の為替変動による損失を小さくする仕組みです。一方でヘッジにはコストがかかるため、その分運用成果が低くなる可能性もあります。


主な商品

外貨建て終身保険

一生涯の死亡保障を確保しながら資産形成も期待できる商品です。日本円建ての終身保険よりも高い予定利率が設定されることがありますが、円に換算する際は為替レートの影響を受けます。長期間保有する予定の人、外貨資産を保有したい人に向いています。

外貨建て養老保険

一定期間の死亡保障を確保しながら、満期時に満期保険金を受け取る商品です。教育資金や老後資金など将来のまとまった資金づくりを目的に利用されますが、満期時に円へ換算した結果、為替相場によっては払込保険料を下回る可能性もあります。満期まで保有できる人、為替変動リスクを理解できる人に向いています。

外貨建て個人年金保険

老後資金を準備する商品です。国内金利が低い環境では円建ての個人年金保険より高い利率が期待できる場合がありますが、年金受取時の為替相場によって受取額が変動する点に注意が必要です。外貨による資産分散を考えている人に向いています。


5. 積立利率変動型保険


積立利率変動型保険は、市場金利に応じて積立利率が一定期間ごとに見直される生命保険です。変額保険のように株価の影響を受けるわけではありません。

市場金利が上昇すると積立利率が上がる可能性があり、反対に低金利が続くと積立利率も低くなります。ただし多くの商品では最低保証利率が設定されているため、変額保険ほど元本割れリスクは高くありません。代表的な商品として、利率変動型積立終身保険・利率変動型個人年金保険などがあります。


6. 通常の生命保険との比較

比較項目

通常の生命保険

変額保険

外貨建て保険

積立利率変動型

運用方法

一般勘定(確定利率)

特別勘定(株式・債券等)

外貨建て運用

市場金利連動

元本保証

あり(※)

商品によって一部なし

円ベースではなし

概ねあり(最低保証利率の範囲内)

為替リスク

なし

なし

あり

なし(円建ての場合)

主なリスク

予定利率の変動

市場価格の変動

為替変動・市場価格の変動・為替手数料

金利低下

向いている人

安定重視

長期運用・価格変動を許容できる人

外貨分散・高金利を活用したい人

中程度のリスクを受け入れられる人

※早期解約では解約控除等により払込保険料を下回る場合があります。


7. 販売規制と適合性原則


投資性の強い生命保険は、通常の生命保険以上に販売時の説明義務が重視されています。これは運用成果や為替によって受取額が変動し、契約者が損失を負う可能性があるためです。

そのため販売時には、保険業法だけでなく、金融商品としての考え方も踏まえた販売ルールが求められます。代表的なものが適合性原則です。適合性原則とは、顧客の知識・投資経験・財産状況・契約目的などを確認し、それに適した商品を提案しなければならないという考え方です。

また契約前には「契約概要」「注意喚起情報」を交付し、商品の仕組みやリスクについて十分な説明を行うことが義務付けられています。さらに変額保険や外貨建て保険などを募集する際には、一般的な生命保険募集人資格に加え、生命保険協会が実施する商品別の販売資格試験に合格していることが必要です。


【代理店から聞いた話】「リスクより先にメリットが目に入る」


生命保険の募集経験がある方の話では、投資性の強い生命保険では「予定利率が高い」「資産形成ができる」といったメリットに目が向きやすく、お客様がリスクを十分に理解しないまま契約を希望されるケースも少なくなかったそうです。


そのため、募集人は元本保証の有無や運用リスク、為替リスク、為替手数料などを具体例を交えながら丁寧に説明し、お客様が納得したうえで契約することが非常に重要とされています。

また、教育資金づくりを目的として投資性の強い生命保険を検討されるお客様には、近年普及しているNISAとの違いについても説明することが大切だったそうです。


例えば、生命保険には万一の際の死亡保障や相続対策といった保険ならではの機能があります。一方、NISAは資産形成に特化した制度であり、保障機能はありません。その分NISAでは投資額の全てが運用に回るため、運用効率は良いことが多いです。


それぞれの制度には目的や特徴が異なるため「どちらが優れているか」ではなく「何のために準備するのか」という目的に応じて、選択していただくことが重要であると聞いています。


8. まとめ


投資性の強い生命保険は、保障機能に加えて資産運用の要素を持つ商品です。特別勘定で運用する変額保険、為替リスクを伴う外貨建て保険、市場金利に応じて積立利率が変動する積立利率変動型保険——それぞれ仕組みもリスクも異なります。


「利率が高い」「運用できる」という特徴だけでなく、自分がどのようなリスクを負うのかを理解したうえで選択することが大切です。


次回は、契約者を法人とする生命保険について、その仕組みや活用方法を整理していきます。

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