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損害保険の原理原則

  • 執筆者の写真: 俊輔 藤﨑
    俊輔 藤﨑
  • 5月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月14日

損害保険の原理原則
損害保険の原理原則

われわれの日常生活を取り巻く様々な危険を公平に分担するため、損害保険には守らなければならない原理原則が存在します。“大数の法則”、“収支相等の原則”、“給付・反対給付均等の原則”、”利得禁止の原則“を踏まえて、損害保険業界はビジネスを行っています。


◇ 大数の法則

サイコロを振ってみましょう。ここでサイコロは何の仕掛けもなく、ランダムに転がるものと仮定します。このとき理論上は6つの目のうちある目が出る確率は1/6になります。つまり「1」の目が出る確率は1/6です。では実際にサイコロを6回振ってみましょう。「1」から「6」の目がそれぞれ1回ずつ出ることはまずないでしょう。では60回振ったらどうなるでしょうか?おそらく6回振ったときよりも「1」の目が出る確率は1/6に少しは近づくでしょう。600回振ったらどうでしょう?60回振ったときよりもさらに「1」の目が出る確率は1/6に近づきます。さらに時間をかけて6,000,000,000回サイコロを振ったとき、もしサイコロに何の仕掛けも存在しないならば、「1」の目がでる確率は限りなく1/6に近づくはずです。


上記のサイコロの例のように、数多くの試行を重ねることにより事象の出現回数が理論上の値に近づく定理のことを、「大数の法則」(law of large numbers)といいます。


一般的な保険商品は、大数の法則に基づいて保険料が設定されます。たくさんの自動車を観察すれば、自動車事故の確率もおよそ推定できるからです。また、たくさんの自動車を観察して事故のデータを収集することで、運転する人の年齢や、免許証の色の違いで事故を起こす確率が異なることも分かります。自動車の用途車種・型式の違いで、事故率にどれだけ差が生まれるかもかなり正確に予測することができます。万が一予測が誤っていたとしても、ほぼ毎年行われる商品改定と同時に保険料率も改定してしまうことで、保険会社は直近のリスク実態に応じた保険料を徴収することができます。保険会社単体でそれが困難なときには、業界全体で保険の制度を変えてしまうことで、危険度に見合った保険料を実現します。「大数の法則」の原理を使って、より正確な事故率を予測するために、型式料率クラスのように損害保険会社各社でデータを共有して保険料を導き出すこともあります。保険には「公平の原則」(給付と反対給付均等の原則)がありますから、それを実現するためには、この「大数の法則」は保険会社にとってなくてならないものです。まさに大原則です。

◇ 収支相等の原則

  • 契約者全体が支払う保険料の総額は、支払われる保険金全体の総額と等しくなければならないという原則。個々の経済主体を見れば、払い込んだ保険料と支払われる保険金は一致しないが、契約者全体でみた場合、収入(保険料)と支出(保険金・事業費)は等しくなります

◇ 給付・反対給付均等の原則

  • 個々の加入者ごとに、契約者が支払う保険料と、事故発生の際に支払われる保険金の数学的期待値が等しくなければならないという原則。保険会社は、個々の契約で「保険料 = 事故の確率 × 保険金」が成り立つように料率を調整します

◇ 利得禁止の原則

  • 被保険者は実際に被った損害額以上の保険金を受け取ってはならないという原則。例えば、20万円の中古車に200万円の保険をかけて事故を起こしても、200万円は支払われません


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