損害保険の関連法規
- 俊輔 藤﨑
- 6月24日
- 読了時間: 4分
更新日:7月8日

保険業界に関連する重要な法律として、契約ルールを定める「保険法」と保険会社への監督を定める「保険業法」があります。また、金融商品を販売するにあたり遵守する法律である「金融サービス提供法」と「金融商品取引法」に加えて、損害保険固有のものとして、損害保険料率算出団体に関する法律、自賠責に関する法律(自動車損害賠償保障法)、地震保険に関する法律があります。

「保険法」は、契約者と保険会社との契約について規定した法律です。従来は、商法の一部として規定されていましたが、口語化・現代化とともに保険契約者の保護を主な目的として大幅に見直され、2008年から独立した法律として施行されました。保険契約者と保険会社との間の権利・義務関係等、保険契約(共済契約を含む)に関する基本的事項を定めています。
①保険に関する用語の定義(保険契約・保険者・保険契約者・被保険者・保険金受取人など)
②保険契約の目的(被保険利益)
③保険金額と保険価額に関する事項(一部保険・超過保険・重複保険)
④保険契約者等の義務に関する事項(告知義務・通知義務・損害防止義務)
⑤保険者の責任に関する事項(保険金の支払い・保険金支払いの履行期・免責事由)

「保険業法」は、保険会社や保険募集への監督に関するあらゆる事項を規定している法律です。保険事業が健全に運営されることによる保険契約者の保護を主な目的として、保険会社の組織・運営等に関する規律を定めており、保険会社が事業を行う上でのルールブック的な存在となります。
「保険法」は、保険会社と契約者の細かいルールブック的な位置づけ)
l第1篇の総則から、第7編の没収に関する手続等の特例まで、保険会社が事業を営む上での様々な規則を定めていますが、大まかに述べると下記について定めています。
① 保険会社の免許制度、監督・監査
② 財務の健全性規制(ソルベンシー・マージン比率 等)
③ 保険募集のルール(保険募集の規制、説明義務 等)
④ 保険契約者保護機構(破綻時の救済制度)

損害保険業界は、保険法と保険業法以外にも多くの法律の影響を受けます。例えば、損害保険業界は公平な保険料を実現するために各社が大量のデータを持ち合い、法律を通して設立された業界団体を通して参考とする保険料率を算出しているため、その団体を規定する法律があります。また、自賠責保険・地震保険といった公共性の高い保険に関しては、個別の法律にもとづいて運営されています。
① 損害保険料率算出団体に関する法律
損害保険の「保険料(保険料率)」を、公平・適正に決めるため法律です。損害保険は多くの人が利用する公共性の高い商品なので、第三者的な中立機関が基準となる料率を作り、保険会社が参考にする仕組みを規定しています。
② 自動車損害賠償保障法
自動車事故で人にケガをさせたり命を奪った場合に、最低限の補償を確保するための法律です。交通事故の被害者が泣き寝入りしないように、自賠責保険の加入義務、 補償対象、補償金額(上限)、無保険車対策等を定めています。
③ 地震保険に関する法律
地震による損害に備える保険(地震保険)を、政府と民間保険会社が共同で運営する仕組みを定めた法律です。地震という災害に対応するための保険の仕組み、補償範囲、保険金額の制限、損害評価、保険料の決まり方等を定めています。
④ 金融サービス提供法
銀行・証券・保険などの金融商品を販売する際の、共通ルールや利用者保護を定めた法律です。金融商品を安心して正しい情報のもと購入できるように、金融サービス仲介業、情報提供義務、苦情対応・紛争解決、オンライン契約等を定めています。
⑤ 金融商品取引法
株や投資信託などの「投資商品」に関するルールを定めた法律で、投資家を守り、金融市場の公正さを保つためのものです。金融商品の取引に関する説明義務、情報開示のルール、業者の登録制、インサイダー取引の禁止等を定めています。
⑥ 消費者契約法
消費者が不利な契約をさせられないように守るための法律です。悪質な勧誘や分かりにくい契約の罠から、一般消費者を救うことを目的に、不当な勧誘による契約の取消、不当に不利な契約条項の無効、事業者への努力義務等を定めています。
⑦ 個人情報保護法
名前や住所などの「個人情報」を無断で使用・漏洩することを防止するための法律です。企業や団体が個人情報を適切に扱い、プライバシーを守ることを目的に、利用目的の明示、同意の取得、安全管理措置、苦情や開示請求への対応、違反時の罰則等を定めています。



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