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生命保険会社が保持しているデータ

  • 2025年8月5日
  • 読了時間: 7分

更新日:22 時間前

生命保険会社が保持しているデータ概要
生命保険会社が保持しているデータ概要

生命保険会社が保持しているデータ概要
生命保険会社が保持しているデータ概要

生命保険会社は、生命保険事業を行う過程で大量のデータを収集・蓄積します。データは、整理の仕方によって異なりますが、大まかに下記のように分類することができると考えます。


 ① 営業マーケティングデータ 見込み顧客情報(リード情報・年齢・家族構成・関心商品)、マーケティング施策結果(DM・セミナー・アンケート・キャンペーン反応等)、営業担当者の活動履歴(訪問・電話・提案内容)、販売チャネル(営業職員・代理店・銀行・Web等)、Webサイト・アプリの行動ログ(閲覧ページ・滞在時間・資料請求等)


 ② 顧客データ 顧客属性(氏名・住所・性別・生年月日・職業・家族構成・連絡先)、ライフスタイル(喫煙・飲酒・趣味・運動習慣 等)、リスクプロファイル(健康診断結果・既往歴・通院歴・手術歴・身長・体重 等)、顧客接触履歴(コールセンター対応履歴・苦情・問合せ内容 等)

 ③ 契約データ

加入商品(死亡保険・医療保険・介護保険・学資保険・個人年金 等)、契約名義人(契約者・被保険者・保険金受取人 等)、契約内容(保障内容・保険金額・保険期間・保険料・払込方法・払込期間 等)、引受査定情報(告知内容・審査判定・条件付き承認内容 等)

 ④ 保全データ

本情報変更(氏名・住所・支払方法の変更 等 )、保障内容変更(保障内容・保険金額・特約の追加削除 等)、保険料収納状況(収納履歴・未収状況・猶予・失効状況 等)、失効・復活・解約の理由、解約返戻金・満期金の支払い履歴

 ⑤ 支払いデータ

請求受付(請求日・請求事由・請求書類 等 )、支払査定(審査内容・判定結果・査定担当者 等 )、支払結果(支払日・金額・支払方法・支払先 等 )、不支払・免責対応(不支払理由・調査結果・異議申立状況 等 )、不正請求関連(不審フラグ・調査結果・対応履歴 等 )

 ⑥ コーポレートデータ

財務・会計(収支状況・ソルベンシーマージン・責任準備金 等)、法務・コンプライアンス(規程・法令対応状況・苦情・処分歴 等)、人事(属性・勤務・採用・給与・評価・研修・資格 等)、情報システム(システム稼働状況・障害履歴 等)、リスク管理(リスク量・モニタリング結果 等)

◆ 生命保険会社のデータ収集・蓄積の仕組み 生命保険会社は、事業を運営する商流(各プロセス)でデータを収集しています。

募集・契約プロセスでの収集 営業職員や代理店を通じて、顧客の属性・健康状態・ライフスタイル等を告知書や申込書から収集します。対面での紙の申込書が長年主流でしたが、近年はタブレット端末での電子申込や、Webからのオンライン申込も普及しており、デジタルデータとしての蓄積が進んでいます。加えて、告知情報の確認・引受査定の過程で収集された医的情報(診断書・健康診断結果等)も電子化・蓄積されるケースが増えています。


保全プロセスでの収集

契約後の住所変更・受取人変更・保障内容の変更等の手続きを通じて、顧客の生活環境の変化(転居・結婚・出産・退職等のライフイベント)を反映したデータが収集されます。これらは契約管理システムに登録・蓄積されます。また、コールセンターへの問合せ内容や応対履歴も、顧客の状況や不満・ニーズを把握する上で重要なデータとなります。


支払プロセスでの収集

保険金・給付金の請求・支払のプロセスでは、診断書・入院証明書・手術証明書等の医療情報が収集されます。これらは支払査定のためのデータとして蓄積されますが、疾病の発生傾向や医療費の推移を分析する上でも重要なデータです。支払履歴は引受査定や商品設計にも活用されます。


デジタルチャネルでの収集

近年の保険会社のアプリやWebサービスの普及により、顧客の行動ログ(ページ閲覧・資料請求・試算結果等)もリアルタイムに収集・蓄積できるようになっています。これらのデジタル行動データは、従来の紙ベースの申込情報には含まれなかった顧客の関心・行動パターンを把握する上で価値が高いデータです。

外部データ活用ケース(案)
外部データ活用ケース(案)

◆ 活用が進んでいないデータと、今後の活用に向けた動き これらのデータは生命保険会社が保険事業を運営するために日々蓄積されていますが、①データが複数の基幹システムに分散しており横断的な活用が難しい、②紙・非構造化データ(診断書・手書き書類等)として保管されており分析に手間がかかる、③個人情報・医療情報を扱うための厳格な法令対応(個人情報保護法・保険業法等)が必要という課題があり、有機的に連携・活用できていないケースが多いのが実態です。 近年では、自社が保有するデータに加えて外部データを組み合わせることで、リスク評価の精緻化、新商品の開発、保険以外の新サービス開発を検討・推進するケースが増えてきています。 引受査定・リスク評価の高度化 従来の引受査定は、告知書に記載された健康情報をもとに担当者が判断するケースが多かったですが、過去の支払データや医療統計データをAI・機械学習で分析することで、より精度の高いリスク評価を実現しようとする動きが進んでいます。例えば、喫煙・BMI・既往歴等の組み合わせと将来の疾病発症リスクの相関を過去データから学習し、個人の保険料算出に反映する「パーソナライズドプライシング」の検討も始まっています。

解約・失効の予測と予防 保全データや顧客接触履歴、コールセンターへの問合せ内容等を分析することで、解約・失効リスクの高い顧客を事前に予測し、営業職員によるフォロー施策を打つ取り組みがあります。例えば、「保険料収納の遅延が2回以上あり、かつ直近6ヶ月で保障内容の変更を行った顧客」等の行動パターンを特定し、解約リスクスコアを算出して営業担当者のアクションを促します。

次の提案・クロスセルへの活用 顧客の契約内容・ライフイベント(住所変更・受取人変更等)・保全手続き履歴をもとに、保障ギャップ(不足している保障)を分析し、最適な追加提案(クロスセル・アップセル)を営業職員やアプリを通じて提示する取り組みが進んでいます。例えば、子どもが誕生したタイミングで学資保険や育英年金の提案を自動生成してアラートを出す等、タイミングを捉えた提案が可能になります。

健康増進サービスとデータ活用 近年、保険会社は「支払う保険会社」から「健康を支援する会社」へのシフトを模索しており、ウェアラブルデバイスや健康管理アプリと連携することで、契約者の歩数・睡眠・心拍数等のバイタルデータを収集・活用する取り組みが広がっています。例えば、健康維持の取り組みに応じて保険料を割引したり、健康改善サービスを提供したりすることで、契約者の健康増進と保険事故(疾病・入院)の予防を同時に図る「インシュアテック」型のサービス開発が進んでいます。

支払査定の効率化・品質向上 診断書・入院証明書等の医療文書をAI-OCRで読み取り、支払要件を自動チェックする取り組みが進んでいます。これにより、定型的な案件の査定を自動化し、査定担当者が複雑な案件に集中できる体制を構築することが可能になります。また、過去の不正請求データをもとに不審な請求パターンを学習させ、不正請求の早期検知にAIを活用するケースも増えています。

 データ基盤の整備(データドリブン経営) 上記のようなデータ活用を実現するための基盤として、各社は「データウェアハウス(DWH)」や「データレイク」の整備に取り組んでいます。複数の基幹システムに分散していたデータを一元管理・連携させることで、横断的な分析が可能になります。加えて、データの品質管理(重複・誤記・欠損の排除)やデータガバナンス(誰が何のデータをどう使えるかのルール整備)も重要な課題となっています。

外部データとの連携による新たな価値創造 自社データだけでなく、外部データ(公的統計・医療機関データ・地域の介護・医療資源情報・SNSの健康関連情報等)と組み合わせることで、これまで見えなかったリスク傾向や顧客ニーズを発見しようとする動きも進んでいます。例えば、地域ごとの医療費・疾病発生率のデータを活用した地域特化型商品の開発や、医療機関との連携による早期受診サービスの提供等、保険の枠を超えたエコシステムの構築を目指す動きもあります。 以上、生命保険会社が保持しているデータについて、解説させていただきました。

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