【損保業務_ウ】 計上(新契約) (New Business)
- 2025年12月12日
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損害保険の計上(新契約)業務は、顧客からの申込を受け付け、引受査定を経て保険契約を正式に成立させるまでの一連の手続きです。生命保険の新契約業務と目的は共通していますが、査定の内容が大きく異なります。生保では被保険者の健康状態・告知内容を中心とした「医務査定」「環境査定」が査定の主軸となるのに対し、損保では保険の対象物(自動車・建物・設備等)のリスク特性・過去の事故歴・事業内容等を評価する「物件査定」「事故歴査定」が中心です。また、損保では代理店システムからのダイレクト計上(代理店が直接保険会社のシステムに契約データを入力する方式)が広く普及しており、紙の申込書を経由しないペーパーレスな契約手続きが主流になっています

□計上(新契約) (New Business)
顧客が申し込んだ保険契約を正式に成立させるまでの一連の手続きを行う業務です。代理店が募集した申込書類を受け付け、申込書・保険の対象物の情報を確認し、過去の事故履歴・既契約の内容・事業内容等をもとに保険を引き受けるかどうかを判断する「引受査定(アンダーライティング)」を行います。査定後、申込内容をシステムに登録・計上して保険証券を発行します。誤りがあると将来の保険金支払いや契約トラブルにつながるため、スピードに加えて正確性が特に重要な業務です
ウ-1-1. 申込受付
顧客から提出された申込書類を受領し、引受査定に進める前の確認を行います。保険申込書・対象物の確認書類(車検証・建物登記簿等)等を受け付け、必要書類が揃っているか確認し、記載内容の不備・漏れ・矛盾をチェックします。不備がある場合は代理店・募集人に照会し、修正を依頼します。損保では代理店システムからのダイレクト計上が普及しており、この場合はシステム入力時にリアルタイムでエラーチェックが行われるため、書類不備の発生率が大幅に低減されています
ウ-1-2. データ取り込み
代理店からの申込データを保険会社の契約管理システムに取り込みます。ダイレクト計上の場合はシステム間のデータ連携が直接行われますが、紙の申込書の場合はOCR等のツールで読み取り、ダブルチェック・エラーチェック機能も活用しながら正確に取り込みます。不備がある場合は代理店・募集人に照会し、修正した上で査定部門へデータを送ります。AI-OCRの精度向上により手書き申込書の自動読み取り精度は高まっていますが、完全な自動化には至っておらず、目視確認との組み合わせが主流です
ウ-1-3. 引受査定
申込内容・対象物の情報・過去の事故歴・事業内容等を確認し、リスク特性や引受基準との整合性を確認した上で、引受可否・特別条件(免責の設定・料率調整等)の必要性を判断します。自動車保険では型式・用途・事故歴、火災保険では建物構造・所在地・用途、賠償責任保険では業種・事業規模・過去の賠償履歴等、種目ごとに評価ポイントが異なります。高リスク案件や大口案件では、追加資料の取得や現地調査を行うこともあります。なお、企業向け大口案件では、募集段階で事前に引受査定を行い、引受条件を提示してから申込を受け付けるケースも多くあります
ウ-1-4. システム登録・計上
引受査定後の契約内容(契約者・被保険者情報・補償内容・保険の対象物・保険期間・保険料等)をシステムに反映し、保険料や引受規定との整合性を確認した上で、成立処理(計上)を行います。契約管理システムへの登録に加え、代理店システムにも成立した契約データを連携します。計上処理が完了した時点で、契約が法的に成立し、保険会社の責任が開始します
ウ-1-5. 証券発行
成立した契約情報(契約者・被保険者情報・補償内容・保険料・保険期間・特約等)をもとに保険証券データを生成し、証券発行業者に連携します。証券発行業者にて、紙の保険証券の印刷・郵送、または電子保険証券の発行・通知を行います。近年は電子保険証券への移行が進んでおり、郵送コストの削減・発行スピードの向上・ペーパーレス化が実現しています
ウ-1-6. クーリングオフ
契約者からクーリングオフの申し出を受け付け、対象期間内(申込日または保険証券受領日から8日以内)であるか・対象となる契約かを確認します。対象の場合は契約の無効処理を行い、受領済みの初回保険料を返金します。営業部門・代理店等の関係者へ連絡し、必要に応じて契約者へのフォロー対応を行います。クーリングオフは保険業法で定められた消費者保護制度であり、対象期間・対象契約の判定を誤ると法令違反になる可能性があるため、迅速かつ正確な処理が求められます
業務の特徴と難しさ
物件・リスク特性に応じた個別査定
損保の引受査定は、保険の対象物(自動車・建物・工場・船舶・貨物等)ごとにリスク特性が異なるため、種目別に専門的な判断が必要です。生保の医務査定が被保険者の健康状態を主軸とするのに対し、損保では物件の構造・用途・所在地・事故歴・業種リスク等を評価します。大口・高リスク案件では現地調査も必要になる場合があります
正確性とスピードの両立
計上業務は「早く・正確に」処理することが求められます。契約成立が遅れると顧客・代理店の不満につながり、かつ誤った情報で計上すると将来の保険金支払い時にトラブルが生じます。大量の申込を短期間で処理しながら品質を落とさないオペレーション設計が重要です
モラルリスクへの対応
保険金詐欺を目的とした申込(モラル案件)を見抜くことが、引受査定の重要な役割です。不審な事故歴の多い契約・高額保険金設定の案件・短期間での複数申込等を見極め、不正契約を未然に防止することが求められます。見逃すと本来支払うべきでない保険金支払いに直結するため、査定精度が経営リスクに直接影響します
デジタル化による業務変革
損保では代理店システムからのダイレクト計上が普及しており、代理店が直接保険会社のシステムに契約データを入力する方式が主流です。入力エラーのリアルタイムチェックが可能になる一方、紙申込とダイレクト計上が混在する環境での管理が課題となっています
後工程への影響の大きさ
計上で登録されたデータは、収納・契約管理(異動)・満期更改・損害サービス・会計の各基幹システムに引き継がれます。入力誤りや査定ミスは後工程での修正コストが膨大になるため、「最初の処理を正確に行う」という意識が特に重要です
損害保険会社の業務一覧はこちらを参照ください。



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