【生保業務_う】 新契約 (New Business)
生命保険会社の「契約する」フェーズの業務領域です。顧客が申し込んだ保険契約を正式に成立させるまでの一連の手続きを担います。申込書・告知書の受付から査定(アンダーライティング)・保険料入金確認・保険証券発行まで、「募集(い)」フェーズで獲得した申込を確実な契約に転換する役割を果たします。
ここでの処理内容が、将来の「保全(え)」「支払(お)」業務のベースとなります。正確性とスピードの両立が特に重要であり、誤りがあると将来の支払いや顧客トラブルにつながるため、厳密な審査体制が求められます。

□新契約 (New Business)
顧客からの申込を受け付け、保険契約を正式に成立させるまでの一連の手続きを行う業務です。申込書・告知書の内容を確認し、健康状態・職業・申込経路などをもとに「保険を引き受けるかどうか」を判断する査定(アンダーライティング)を行います
査定の結果、通常承認・条件付き承認(保険料割増・特定部位不担保など)・謝絶のいずれかが判断され、通常承認・条件付き承認の場合は保険料の入金確認・契約内容の登録を経て保険証券を発行します。正確性とスピードが求められる業務で、ここでの誤りが将来の支払いや顧客トラブルにつながるため、厳密な審査体制が不可欠です
う-1-1. 申込受付
顧客から提出された申込書類を受領し、査定に進める前の確認を行います。保険申込書・告知書・本人確認書類・健康診断書等を受け付け、必要書類が揃っているか確認し、記載内容の不備・漏れ・矛盾をチェックします。不備がある場合は営業支店・募集人・代理店に照会し、修正を依頼します
近年はタブレットやWebによる電子申込が普及しており、紙書類の受付から電子データの受付へと移行が進んでいます。電子申込の場合は入力エラーをリアルタイムでチェックできるため、不備の発生率を大幅に低減できる一方、紙と電子が混在する過渡期の管理が難しい課題もあります
う-1-2. データ取り込み
申込書類をOCR等のツールで読み取り、ダブルチェック・エラーチェック機能も活用しながら新契約システムに正確に取り込みます。不備がある場合は営業支店を通じて募集人・代理店に照会し、修正した上で査定部門へデータを送ります
AI-OCRの精度向上により、手書き申込書の自動読み取り精度が高まっていますが、完全な自動化には至っておらず、目視確認との組み合わせが主流です。電子申込ではシステム間のデータ連携が直接行われるため、データ取り込み業務自体が省略・簡略化される方向にあります
う-1-3. 環境査定
募集人資格・申込経緯・募集ルールの遵守状況等から不適切募集がないかを確認した上で、契約者・被保険者の年齢・職業・収入・既契約の保険加入状況等をもとにリスク評価を行います。モラル案件(保険金詐欺を目的とした申込)や異常な高額契約・短期間での複数申込等を見極め、引受可否・引受条件の判断を行います
環境査定は「この申込は正当なものか」という視点での審査であり、書類の内容だけでなく、募集の経緯・申込者の背景・保険金額の合理性などを総合的に判断することが求められます。疑義案件は医務査定部門や法務部門とも連携して対応します
う-1-4. 医務査定
申込時の告知書・健康診断結果・医師の審査結果等をもとに、被保険者の健康状態を評価し、引受条件を決定します。既往症・現在治療中の疾患・入院・手術の履歴・生活習慣(喫煙・飲酒等)等の情報を確認し、標準体での引受・保険料割増・特定部位不担保(一定の疾患・部位を補償対象から除外)・条件付き引受・引受不可等の判断を行います
判断が難しい案件は、会社の嘱託医(アドバイザリー医)に意見を求めながら最終判定を行います。医務査定の精度は保険収支に直結するため、アンダーライターには医療知識と引受ルールの両面の高い専門性が求められます
医務査定は「引受を厳しくすれば損害が減るが顧客を失う」「緩くすれば顧客が増えるが損害が増える」というトレードオフの中で、適切なバランスを判断する難しい業務です
う-1-5. 入金
口座振替・クレジットカード・振込等の方法で支払われた初回保険料が入金されていることを確認し、契約情報と照合します。金額の不一致や未入金の契約については、営業支店・募集人に連絡し、契約者への入金促進を図ります。初回保険料の入金確認をもって責任開始(保険会社が保険金支払義務を負い始めるタイミング)となるケースが多く、入金確認の正確さと迅速さが保険保障の開始に直結します
う-1-6. 証券発行
査定が完了し、契約が成立した情報(契約者・被保険者情報・保障内容・保険料・保険期間・特約等)をもとに保険証券データを生成し、証券発行業者に連携します。紙の保険証券の印刷・郵送、または電子保険証券の発行・通知のいずれかの方法で、契約者へ届けます
近年は電子保険証券への移行が進んでおり、郵送コストの削減・発行スピードの向上・ペーパーレス化が実現しています。一方、電子証券に不慣れな顧客への対応や、紙と電子の選択管理も必要です
う-1-7. クーリングオフ
契約者からクーリングオフの申し出を受け付け、対象期間内(申込日または保険証券受領日から8日以内)であるか・対象となる契約かを確認します。対象の場合は契約の無効処理を行い、受領済みの初回保険料を返金します。営業部門・募集人等の関係者へ連絡し、必要に応じて契約者へのフォロー対応を行います
クーリングオフは消費者保護の観点から保険業法で定められた制度であり、対象期間・対象契約の判定を誤ると法令違反になる可能性があります。対応期限が短く、迅速かつ正確な処理が求められます
業務の特徴と難しさ
正確性とスピードの両立
新契約業務は「早く・正確に」処理することが求められます。契約成立が遅れると顧客・募集人の不満につながり、かつ誤った情報で契約が成立すると将来の支払い時にトラブルが生じます。大量の申込書類を短期間で処理しながら、品質を落とさないオペレーション設計が重要です
告知義務違反・モラルリスクへの対応
顧客が健康状態や職業を意図的に偽って申し込むケース(告知義務違反・モラル案件)を見抜くことが、査定業務の重要な役割です。不正契約を見逃すと、保険会社が本来支払うべきでない保険金を支払うことになります。環境査定・医務査定の精度が直接的に経営リスクに影響します
医療知識と保険実務の両方が必要
医務査定では告知書・診断書・医師意見書をもとに被保険者の健康リスクを判断します。内科・外科・精神科など幅広い疾患の知識と、生命保険の引受ルールの両方を理解したアンダーライター(査定担当者)の専門性が求められる、習得難易度の高い業務です
デジタル化による業務変革
従来は紙の申込書が主流でしたが、タブレット・Webによる電子申込が急速に普及しており、申込受付・データ取り込みのプロセスが大きく変わっています。AI-OCRによる書類読み取り・エラーチェックの自動化も進んでおり、オペレーション設計の見直しが継続的に必要です
後工程への影響の大きさ
新契約で登録されたデータは、保全・収納・支払・会計の各基幹システムに引き継がれます。入力誤りや査定ミスは後工程での修正コストが膨大になるため、「最初の処理を正確に行う」という意識が特に求められます
生命保険会社の業務一覧はこちらを参照ください。


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