生命保険会社の業務一覧
- 2025年11月4日
- 読了時間: 9分
更新日:5月30日
生命保険会社で行われている全体の業務内容を大まかに整理したいと思います。どの募集チャネルを主力とするか等で会社間に差異がありますが、保険業界に共通している基幹業務を中心に概要を記載しています。
まず、生命保険業界の商流(バリューチェーン)として、「商品開発/マーケティング」「募集」「引受」「保全」「支払」「顧客・代理店管理」「資産・リスク管理」、その他一般企業と同様の人事・総務等の「コーポレート・インフラ」に整理しました。
各商流(バリューチェーン)ごとに、主に生命保険会社の組織図と基幹システムの機能分類を踏まえて、もう一段細分化した業務領域に分けています。業務領域(Lv.2)ごとに、主に業務プロセスを踏まえて業務名(Lv.3)に整理しており、この業務名(Lv.3)で各生命保険会社がどんな業務をしているかを説明しています。 Lv.2として、「商品企画・開発」、「マーケティング」、「募集(営業)」、「営業支援」、「募集人管理」、「代理店支援」、「新契約」、「請求・収納」、「契約保全」、「保険金・給付金支払」、「顧客サービス」、「顧客関係管理」、「代理店管理」、「資産運用・管理」、「共同保険」、「再保険」、「情報システム」、「法務・コンプライアンス」、「人事」、「総務」、「経理・財務」に分類・整理しています。
この記事の使い方(おすすめの読み方)
生保プロジェクトに初めてアサインされた方
まず全体の流れを把握するために、「あ. 商品開発・マーケティング」から「お. 支払」までを順番に一読することをお勧めします。生命保険の商流全体を「商品を作る→売る→契約する→管理する→払う」という流れで理解できます。
契約・引受関連のシステムに関わる方
「う. 引受(新契約・請求収納)」と「え. 契約管理(保全)」が最も直接関連します。新契約から保全・失効・復活までの一連の業務フローを押さえてください。
代理店・募集管理システムに関わる方
「い. 募集」と「か. 顧客・代理店管理」が中心領域です。募集人管理・代理店手数料精算・募集品質モニタリングなど、代理店チャネルに特有の業務が集まっています。
クレームシステムに関わる方
「お. 支払」が直接関連します。請求受付から医務調査・支払承認・年金支払までの業務フローを確認してください。
資産運用・再保険システムに関わる方
「き. 資産・リスク管理」に共同保険・再保険・資産運用の業務がまとまっています。

生命保険商品を作る業務領域です。商品企画・設計から金融庁への申請・認可対応、販売準備まで、アクチュアリーや商品企画部門が中心となって動く領域です。マーケティング部門による広告・キャンペーン施策もここに含まれます。生保プロジェクトでは、商品改定・新商品開発に伴うシステム対応(保険料計算ロジックの変更・帳票改訂等)が発生するため、商品の仕様変更がシステムのどこに影響するかを把握することが重要です。
あ-1. 商品企画・開発 (Product Planning)
あ-1-1. 商品開発計画
あ-1-2. 市場調査(ニーズ分析)
あ-1-3. 商品設計
あ-1-4. 金融庁申請・認可対応
あ-1-5. 販売戦略策定
あ-1-6. 商品販売準備
あ-1-7. 既存商品メンテナンス
あ-2. マーケティング (Marketing)
あ-2-1. マーケティング戦略
あ-2-2. 販売チャネル開発
あ-2-3. マス広告
あ-2-4. Web・SNS広報
あ-2-5. キャンペーン運営
あ-2-6. 施策評価・改善
い. 募集 (Distribution)
生命保険の「売り方」に関わる業務領域です。営業職員・代理店・銀行窓販など、どのチャネルで販売するかによって業務の内容が異なります。募集人の採用・資格管理・活動管理から、代理店への営業支援・教育まで幅広い業務が含まれます。ITベンダー・コンサルタントの方はSFA・CRM・代理店システムとの関連が深い領域で、意向把握義務・比較推奨販売のルール対応など2016年以降の法改正の影響を強く受けている業務でもあります。
い-1-1. 見込み客開拓
い-1-2. 関係構築・情報収集
い-1-3. ニーズ喚起
い-1-4. コンサル・提案
い-1-5. 申込・契約
い-1-6. アフターフォロー
い-2-1. 顧客ターゲティング支援
い-2-2. 活動管理
い-2-3. 案件管理
い-2-4. 目標・業績管理
い-2-5. 訪問・同行支援
い-2-6. 募集人からの問合せ対応
い-3-1. 募集人(営業職員)の採用
い-3-2. 募集人登録
い-3-3. 資格管理
い-3-4. 契約管理
い-3-5. 評価・査定
い-3-6. 教育・研修
い-4-1. 保険商品・制度の情報提供
い-4-2. 営業施策企画・立案
い-4-3. 大口顧客の開拓・深耕支援
い-4-4. 教育・研修
い-4-5. 挙績管理
い-4-6. 代理店経営に関するコンサル
う. 引受 (Underwriting)
顧客からの申込を受け付け、審査・契約を成立させる業務領域です。申込受付・告知内容の確認(環境査定・医務査定)・保険証券の発行という一連のフローが含まれます。また保険料の請求・収納・未収管理・失効・復活といった収納業務もここに分類されます。基幹システムの中核となる「新契約システム」「収納システム」と直接関係する領域であり、生保プロジェクトでは最も対応頻度の高い業務領域のひとつです。 (タイトルからリンクできます)
う-1-1. 申込受付
う-1-2. データ取り込み
う-1-3. 環境査定
う-1-4. 医務査定
う-1-4. 入金
う-1-5. 証券発行
う-1-6. クーリングオフ
う-2-1. 保険料請求
う-2-2. 保険料収納
う-2-3. 未収管理
う-2-4. 自動振替貸付
う-2-5. 失効
う-2-6. 復活
う-2-7. 集団・団体扱い
契約が成立してから消滅するまでの「維持・管理」するの業務領域です。住所変更・保険金額の増減額・特約の付加削除・払込方法変更・解約・満期更新など、契約期間中に発生するあらゆる変更手続きが含まれます。生命保険は契約期間が数十年に及ぶケースもあるため、この保全業務の量・種類は膨大です。「契約管理システム(保全システム)」と直接関係する領域で、異動処理の種類の多さが生保システムの複雑さの主因のひとつです。 ▶ え. 契約管理の詳細はこちら
え-1. 保全 (Policy Maintenance)
え-1-1. 名義・住所等変更
え-1-2. 増額・減額
え-1-3. 特約中途付加・解約
え-1-4. 転換
え-1-5. 延長・払済
え-1-6. 払込方法変更
え-1-7. 契約者貸付
え-1-8. 配当金処理
え-1-9. ファンド関連変更
え-1-10. 解約
え-1-11. 満期更新
え-1-12. 失効・復活
死亡・疾病などの保険事故が発生し、保険金・給付金を支払う業務領域です。請求受付から支払査定(契約・支払要件の確認、医務調査・事実確認)・支払承認・年金支払まで、一連の業務フローが含まれます。「支払の正確性・迅速性」は契約者との信頼に直結する最重要業務であり、2005年の保険金不払い問題を契機に規制・内部管理が大幅に強化された領域でもあります。支払査定システム・医務調査管理・不払いチェックのロジックは、生保システムの中でも特に複雑な設計が求められます。
お-1. 保険金・給付金支払 (Insurance Claim Payment)
お-1-1. 請求受付
お-1-2. 支払査定(契約・支払要件確認)
お-1-3. 支払査定(医務調査・事実確認)
お-1-4. 支払承認
お-1-5. 年金・生存給付金支払い
お-1-6. 完了通知
か. 顧客・代理店管理 (Customer & Agency Mgmt)
契約者・代理店との関係を維持・管理する業務領域です。コールセンターでの問合せ対応・苦情対応・証明書発行などの顧客サービス業務と、顧客データの統合管理・分析・営業連携などのCRM業務が含まれます。また代理店の登録・募集品質モニタリング・手数料精算など、代理店管理業務もここに分類されます。顧客接点が多く、個人情報保護法・保険業法の遵守が特に求められる領域です。顧客サービスシステム・CRMシステム・コールセンターシステムと関連が深く、2016年の保険業法改正による意向確認書の管理要件もこの領域に影響しています。
(タイトルからリンクできます)
か-1-1. 保全・請求手続き受付
か-1-2. 証券再発行
か-1-3. 保険料控除証明書発行
か-1-4. 「契約内容のお知らせ」発行
か-1-5. 顧客満足度調査(VOC)
か-1-6. 苦情対応
か-1-7. 問い合わせ対応
か-2-1. 顧客情報の統合管理
か-2-2. データ分析・活用
か-2-3. 営業部門との情報連携
か-2-4. 法令/規則遵守・モニタリング
か-3-1. 代理店登録・管理
か-3-2. 募集人登録・管理
か-3-3. 募集品質モニタリング(点検・監査)
か-3-4. 手数料精算
か-3-5. 評価・査定
か-3-6. システム運用サポート
き. 資産・リスク管理 (Investment Risk Mgmt)
生命保険会社が保有する巨大な資産を運用・管理するフェーズの業務領域です。生命保険会社は長期の保険契約から生じる責任準備金を長期にわたって運用するため、資産運用は保険料収入と並ぶ重要な収益源です。また、共同保険(複数の保険会社で1つの保険を引き受ける仕組み)や再保険(引き受けたリスクの一部を他の保険会社に転嫁する仕組み)もここに分類されます。再保険システム・資産運用管理システムは専門性が高く、会計処理(責任準備金・ソルベンシー規制への対応)とも密接に関連します。
(タイトルからリンクできます)
き-1-1. 共同保険の組成
き-1-2. 幹事会社による引受・収納
き-1-3. 非幹事会社への保険料分配
き-1-4. 幹事会社による保険金支払
き-1-5. 非幹事会社への請求・収納
き-1-6. 共同保険事務の再委託
き-2-1. 元受保険契約の引受
き-2-2. 出再・受再契約締結
き-2-3. 再保険料の支払
き-2-4. 元受保険会社による保険金支払い
き-2-5. 再保険金の請求・収納
き-2-6. ボルドロ処理
き-3-1. 運用企画
き-3-2. 債券運用
き-3-3. 株式運用
き-3-4. 不動産投資
き-3-5. オルタナティブ投資
き-3-6. 特別勘定運用
き-3-7. 為替・資金管理
き-3-8. 運用・リスク管理
く. コーポレート/インフラ (Corporate Infrastructure) 一般企業と共通する管理部門の業務領域です。情報システム・法務・コンプライアンス・人事・総務・経理・財務が含まれます。保険業界固有の要素としては、金融庁への報告・ソルベンシー規制への対応・AML(マネーロンダリング対策)・保険業法に基づく内部監査など、規制対応の比重が一般業界より大きい点が特徴です。情報システム部門は基幹系・情報系・チャネル系の全システムを管理しており、生保プロジェクトにおいては最も広いステークホルダーとなります。
く-1. 情報システム (Information System)
く-2. 法務・コンプライアンス (Legal Compliance Audit)
く-3. 人事 (Human Resources)
く-4. 総務 (General Affairs)
く-5. 経理・財務 (Finance・Treasury)
各業務領域のリンクから、業務プロセスごとの詳細な解説をご参照ください。
損害保険会社の業務一覧はこちらをご覧ください。



コメント